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第七章 すれ違う心 十八
翌日、一人きりで留守番をしている貢は家にいさせてもらう代わりに、家の家事をやることにした。夕方干してあった洗濯物を取り込んでたたむ。
一息ついて、リビングで午前中読んでいた本を開いた。そっと本の間に隠し持っていたしおりを取り出し眺めていた。
(誠さん……。発作的に飛び出してしまった。たぶんとても怒ってるか呆れてるかしているかもしれない)
そうこうしているうちに玄関のベルが鳴った。大貫たちが帰ってきたのだ。
玄関のドアを開けると、彼らの背後にぴょこっと少し気まずそうに視線を向ける女性が一人。
「一香さん!」
「あっ、貢くん。本当にいたわ……」
大貫が気まずいのか上にぐるりと視線を向けながら貢にそっという。
「あたしのところにくるってことは当然こういうシュチエーションもあるってことよ? これは不可抗力よね?」
なんでも一香は時折大貫たちと大量のお鍋の材料を買ってきて鍋パーティをするというのだった。
貢は一香にぎこちない笑顔をみせつつその場で固まる。
「お邪魔します。大貫さんから話は聞いたわ、大丈夫よ、誠さんには話してないから」
背後にいた小杉が一香の言葉を皮切りに廊下になだれ込んできた。大貫は貢にそのまま鍋の材料を持たしつつ、はいはい、とリビングに押し流した。
大貫たちはそそくさと材料をテーブルに置くと、上着を掛けに着替えに奥の部屋に消えていく。
ふと一香がテーブルの上に材料を置きながら本の上に置かれた押し花のしおりを見つける。「可愛い……」と一言呟いた。
「これ、誰の? とても綺麗なしおりね」
「そ、それ、僕のです!」
慌てて一香からしおりを奪うと、気まずそうにポケットにしまいこんだ。
「えっ、貢くんの?」
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