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第八章 パンジーと誠 四
誠はいぶかしんだが、即、小杉にビールの追加を注がれ、おっとっとと零れそうになるビールに口をつける。
職場は職場でここ数日誠がいなかったことで大変だったらしく、大貫のお説教がくどくどとはじまってしまった。
一香はふぅーとため息をつきながら貢に視線を合わせた。
「もし間違っていたらごめんね、貢くん。私さっきのあのしおりの花みて思い出したんだけど、それってもしかして誠さんからもらった花なのかしら?」
ストレートな質問に貢は驚きつつ顔を上げた。
「何故、それを……」
「うん、生前にね。加奈子さんから聞いたの」
一香はしばらく思い巡らせてから、そっかぁ。なるほどなぁ……。と独り言を呟いた。
「私からはここまで。今の話を今度叔父さんとゆっくりしてみて。こういう糸が絡んだ状態は、二人で探して互いに導いていくしかないのよ。ね。日向さん?」
大貫と小杉に絡まれてこちらの話しが耳に入らなかった誠はなにが? なにが? と混乱しているだけだった。
「なに一香。あんただけこっそり貢ちゃんと話し込んじゃってさー。何がどうしたってのよ?」
大貫が一香に擦り寄った。
「こういう場合は部外者がどうこう言う問題じゃないのよ、わかります? 大貫さん」
「さっぱりわかんないわ。後でちゃんと説明してよね」
「はいはい」
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