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第八章 パンジーと誠 九
「いや、違わない。確かに俺には加奈子以外に気になる人がいた」
(やっぱり……)
貢は瞳を伏せた。
「それはとても不思議な感情だった。いまでもそう思っている。あの日のあの感情がなんなのか、俺はここ数日お前を探しながら真面目に考えていたよ」
「そうだったんですね……。それじゃやっぱり僕はここにいたら邪魔なんじゃ……」
「邪魔なわけないだろう、むしろ俺はお前にここにいて欲しい。お前が迷惑だったら無理強いはできないが」
「そんな、僕がここにいていいのならいたいです」
互いの気持を模索しようとして二人は互いが拒絶されることにどこか臆病になっている。
((どうしてたった一言大事なことが言えないんだろう))
しばらく静まり返る部屋だったが、ふと誠が何かを決心して顔を上げて提案した。
「なぁ、明日休みだから、一緒に行って欲しいところがあるんだ。いいかな」
「え、あ、はい。僕とでよければ……で、でもなんで……」
「そこへ行けば恐らく俺たちの悩んでいた事が晴れる。そんな気がするんだ。そうだ。今日は色々ストックが足らなくなってきたから午後学校から帰ってきたら二人で買い物に行こう」
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