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第八章 パンジーと誠 十二

 貢は我孫子の顔を見て青ざめ、体が震え出した。  誠は貢に背中越しに話しかける。 「大丈夫だ。もうお前はこいつとは関係ないんだろ?」  必死でうなづく貢を妨害してくるやつらから遠ざけた。 「関係ないとは酷いな。俺からしたら叔父さんが関係ないんだけどな。貢、お前は一方的に俺から姿をくらませただけでまだ俺たちは何も終わってないぜ? そもそも俺たちが出会ったのはそこにいる叔父さんって奴がお前を裏切ったからなんだろ?」 「そ、それは……」  我孫子に痛い所を突かれて貢は言葉に詰まる。 「そうだったのか?」  驚いた顔で誠は貢の顔を一瞬振り返って見た。 「だろ? てめぇがきっかけ作ってんだから、叔父さんはすっこんでろよ」  我孫子は勢いよく誠を蹴った。貢を庇いながらだったので、ふいをつかれて誠はそれを思わず腹に受けてしまう。 「うっ」 「叔父さん!」 「てめぇは邪魔なんだよ!」  我孫子が仲間に顎で指示すると、バイクから下りてきた仲間が一斉に誠めがけて蹴りを繰りだした。

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