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第八章 パンジーと誠 十五

 しばらくして大貫からLINAというメッセージツールで、メッセージが入った。   _オーナーたちの中で警備のお偉いさんがいたから聞いてみたわ、バイクで乗り付けてきたライダースーツの男の後ろにいかにも高校生っぽい男の子を後ろに乗せたバイクがたった今ニューパシフィックホテルに入ったって_ _ありがとう_ _場所わかる?_ _ああ、ここから北の方角だ、良く知ってる_  誠は方角を確認するとすぐに走り出した。この周辺のホテル事情は良くわかっている。シティホテルからラブホテルまで網羅していた。  ここから数分走ればそのホテルに着くはずだ。   (俺はずっとお前の事が好きだったのに、自分の気持を錯覚だと思って加奈子と結婚してしまった。でもわかったんだ。我孫子に取られるくらいなら、俺は俺は……)  徐々に多くなる車通りに沿って誠は走った。  ホテルのエントランスが青く浮かび上がってくる。  ホテルの駐車場にさしかかると、警備員がもう既に連絡を受けているかのように誠の存在に気づき手を振ってきた。 「日向誠さんですか?」 「そうです!」 「話は大貫さんから聞きました。この先の駐車場から中に入ったと思います。恐らくエレベーターホールに行けば、彼らを捕まえられると思います」  警備員に軽く頭を下げて誠は猛ダッシュした。  エレベーターホールに見慣れた人物を見つける。 「貢ー!」  ライダースーツを着た我孫子と無理矢理腕を捕まれてもがいていた貢が驚いて振り返った。

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