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最終章 君の想いをきかせて 三

 二人の生活は前とあまり変わらない。けれど貢には嬉しい事が1つあった。それは帰り道に互いにふと手が触れた時。  思い切って貢から誠の手を取った。  誠の手はとっても温かくてそれだけで貢の心を幸せに包み込んだ。  誠は貢の手が冷たくて彼の細い手を包み込むようにぎゅっと握り返す。  互いにいままでにないほど近い距離で手を取り合うことになんとなく照れくささを感じ、ふふと微笑んでしまった。  それからも二人は手を繋ぐ事はあってもまだ関係はそのままだった。 「でー? 誠ちゃんとあれからどうなったのよぉ~」  いつになく上機嫌で大貫が近づいてくる。  アルバイトとして正式に雇われた貢に早速誠との関係の進展に浮き足立つように尋ねてきた。 「どうなったって何がですか?」  不思議そうな顔で大貫を見る貢に大貫はがくっと肩を落とした。 「だってもうお互いに触れられるんでしょ……?」 「ええ、あれから発作は起きなくなりました」 「でしょ、でしょ? で? 関係はどうなったのよぉ~」 「関係って? ……あ」  やっとその意味を理解した貢は少しだけ顔を赤らめつつお皿を洗っていた。

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