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最終章 君の想いをきかせて 六

(二人の関係か……来年は貢は進学があるから、自制しなきゃいけないと思う。  ……が、しかし)   「叔父さん、お帰りなさい」  仕事の遅番で家に帰ると、笑顔の貢が自分のしていたエプロンをつけてはにかみながら迎えてくれた。 「……」 「どうしたの?」 「……あーいや。その姿いいなと思って」 「あ……これ……すいません。借りてしまいました」 「いいよ、いつでも使ってくれ。というか代わる代わる使うか!」  玄関からリビングに入ると思わず誠の口から感嘆の声が上がる。  そこにはパンジーの花の植木だけでなく、シクラメンの花やコスモスの花なども飾ってあり、とても華やかになっていた。 「少し……買いすぎちゃったかな」 「いや、とても綺麗だ……」  誠が目を細めてそれらを眺めていると、それらは恥ずかしそうな貢の笑顔を可愛らしく演出してくれる。  キッチンには既に色々な料理が完成していた。  鍋にはポトフができあがっていて、テーブルにはパンが置かれてあった。 「待っててね、今ついでくるから」 「凄いないつの間にこんなにできるようになったんだ」  不器用な自分よりもずっと貢の方がセンスがありそうだ。 「いつも叔父さん美味しいもの作ってくれたから、僕もそのっ……お返しがしたくて」  手を見るとあちこちに絆創膏が貼ってある。  ここまでできるようになったのはきっと自分がいない時にあれこれ練習したに違いない。いや、恐らくそれだけでここまで完成されたものができないと思う。

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