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最終章 君の想いをきかせて 十三

(でもいいの? このままでいいの?)  もう一人の自分が自問自答を繰り返す。  貢はそれでもそれらを振り切ろうとした。  そっと誠の腕が貢の下肢に伸び、足を開かされる。  中を割って入ってくる誠に目を閉じて向かいいれた。  誠は片手で自分の下着を下ろすと、そこには雄雄しくそそり立つものがあり、そっと貢の後孔にあてがわれた。  悲しい初体験はお酒で酔っていて感覚も記憶もまばらだった。  けれど今は違う。  はっきりと誠の存在が自分の中に入るのを感じた。  目を閉じ彼を向かいいれる覚悟を決めて、すぐに体を沈ませれば繋がる事ができたのに、そこでふっと誠は手を緩めてしまった。 「誠……さん?」 「貢……どうした?」 「違うんです。そうじゃないんです。僕は……僕は……」  貢の心の中からまた更に深い深層心理が口をついて出てきそうになる。  それを誠はこれ以上ない暖かな視線を向けて、じっくりとそれが出ていくるのを待ってくれた。 「……僕の中で障害になっていた色々なことが頭の中を渦巻いて整理ができなくて」  誠の事は大好きでその気持に一点の曇りもなかった。  好きで好きですっと大好きで、でも……ただそれだけでいいのだろうかとどこか胸の奥でチクリと痛むのだ。  それが過去の事なのか、何かに対しての懺悔に近いのかわからない。

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