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最終章 君の想いをきかせて 十四
貢の様子を見て誠は彼の丸い頭をそっと撫でた。
「貢に最初会った時は人間なんて興味がない、そっけない今風の若い子なのかと思っていたよ。でも違った。君は繊細だからこそ、人の気持を気にして、そこをクリアできないと先にいけない子なんだね」
「わからないけれど……どこかでけじめをと思っているのかもしれません。その方法も思いつかないのに……」
「健気な子だ」
「……」
「加奈子のことか?」
「ええ、それもありますし……」
「まさか我孫子のことも……か?」
誠の言葉につい反応してそれが嘘でないと見抜かれてしまった。
「彼に対してですら、けじめをつけたいのか?」
誠が訪ねると貢は小さなくうなずいた。
「誠さんが大好きだから、だから、僕は正々堂々と誠さんを好きだってちゃんとあいつに言って、終止符をつけたいんです」
「そうか……」
誠はそんな貢の真面目さがむしろ愛おしく感じた。
我孫子は行方不明だし、加奈子はもう他界してしまっている。
いくら自分がこうだったと説明できても、貢がそれを昇華しなくては先へ進めないのだろうと思った。
人を思いやる健気な貢が可愛くて誠は抱きしめた。
(今日は途中までにしておこう。俺だって、貢が大好きだから、貢がはっきり心が決まるまで、彼なりの昇華が終えられるのなら、協力したい)
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