123 / 137

最終章 君の想いをきかせて 十五

「誠さん……」 「ん?」 「僕、情けないです、誠さんに申し訳ない。でも聞いて、これだけは間違いない事です。僕はあなたが大好きです」 「情けないなんてあるものか。俺だってお前が好きだと自分で自覚するまでこんなに遠回りしてしまったんだ。悩んで当然だ。お前がお前の中でしっかりとけじめがつくまで俺は待つよ。俺だってお前が誰よりも大事で好きだから、大切にしたいんだ」  二人は暗闇の中で互いを抱きしめ暖めあった。  貢が何度も何度も誠さん、大好きですと繰り返し涙を浮かべながら言うので、誠はそっとその頭を優しくなで続けた。  そして貢は誠の胸の中で頭を撫でられながらその日は眠りについた。

ともだちにシェアしよう!