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最終章 君の想いをきかせて 二十一

 目を開けるとそこは病院だった。白いカーテンが見える。  何故自分がこんなところにいるのかすぐには理解できなかったものの、自分の手が誰かに握られているのだけはわかった。  傍で誠がじっと自分を見ていて、目を覚ました自分に向けてはっと気づくと目尻に涙を浮かべて微笑んだ。 「貢! よかった目を覚まして……」  気づくと誠の隣にもう一人、精神科医の香澄先生が不安そうに顔を覗きこんでいた。 「香澄先生、僕、どうして……」 「もう、本当に心配したんですからね、いくら私のアドバイスだからって、早坂さんやりすぎです」 「ああ、本当に申し訳ない」  わけがわからない状態でいると、誠が申し訳なさそうに口を開いた。   「その、実は留置場で俺は我孫子と話をしたんだ。実はあいつもしばらく警察で頭を冷やしていたらしい。この間のことはやりすぎたと反省していて自分にも嫌気がさしてたそうだ。自分がお前に拒否されたことに意外とショックを受けていた」 「そうだったんだ……」 「で、まぁ、直談判して、そんなに貢のことを思うのなら最後に一芝居してくれって頼んだんだ。で、凄くいい案がひらめいたから、任せてくれって言ったんだ。あの時、俺もお前に見つからないところで見ていた。でもまさかおもちゃのナイフでお前を刺す真似までするとは思わなかった」 「え……」 「少し精神的にショックを与えた方がいいかもしれないって先生に言われて」  そのことに対して香澄は反論するように立ち上がった。 「私そこまで衝撃を与えなさいとは言っていません。貢くんがまだ心にわだかまりがあるのなら、少し荒療法も必要かもしれませんねと言っただけです」

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