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最終章 君の想いをきかせて 二十五

「あっあっ……」  その甘さは背中から頭の先まで抜けるようで、辛かった我孫子との悲しい記憶を押し流していく。  その行為はその時のとはまるで違った。  ベッドは小さな波間にゆれる船のように優しく揺れている。  誠はふと貢のそそり立つそこへ手を伸ばしてそっと触れてみた。白い肌に少しだけ赤みのあるその果実を手で愛おしいそうに包み込むと甘い切なくこみ上げてくるものがあり、貢の息があがってくる。 (前も後ろも誠さんでいっぱい……)  むしろもっともっと繋がれるところがあるのなら繋がりたい。貢は誠の少し湿った腕に吸い付いた。  そのしぐさがまるでネコのようで誠は貢が愛しくてたまらなくなった。  律動は次第に熱を帯び、船が激しい嵐に揺らされるように揺れた。 (こ、このまま、誠さんと一緒に……)  上り詰めた心地よさはもう引き返す事などできず、出口を求めて溢れ出した。 「あっあん、ああーー」  幾度が大波に揺られただけで貢は今まで感じたことのない絶頂を感じた。  息が荒くなった誠も最奥にその愛情を降り注ぐ。  それをすこしたりとも逃したくなく、震えながら貢は誠の背中にしがみ付きつながり続けた。

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