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最終章 君の想いをきかせて 二十六
その日はまばゆいほど明るくサクラの花が咲き誇る暖かな日だった。教会の鐘が厳かに鳴り大勢の人が『彼らの結婚』を祝福しに来てくれている。貢が丁度18歳になる年だった。
そこは誠が働いている結婚式場の中で、レストラン風な小さな部屋だった。
式はパーティ型式で執り行われた。
色んな愛の形があるとは言うけれどでもこの結婚式場はどんなカップルでも受け入れる。
そして誠たちも その中の一組になった。
人の幸せはいつどんな風に結ばれるかは分からない。
たとえそれが遠回りだったとしても、それはもしかしたら必要な手順で行くべき道筋だったのかもしれない。
結婚式に来てくれた人たちの中には過去に誠が結婚式の配膳を勤めた持った人たちもいた。
「誠さん!」
「みんな……」
「あの時はお世話になりました。今度は俺たちが祝う番ですね!」
二人の青年の薬指にはお揃いの指輪が光っている。
そう以前、誠がこの二人の結婚式を仕切ったことがあった。
彼らには結婚式を挙げることができたことが何よりも幸せで大切な思い出だったのだろう。
自分たちと同じような式を挙げると聞いて飛んできてくれた。
もちろんいつもの結婚式場で働いている仲間も今日は参列している。
笑顔の一香、いつもよりビシッとスーツで決めた大貫に、小杉、そして心療内科の先生の香澄先生まで控えめだけどどこかエレガントな姿で笑顔を向けていた。
もちろん貢の友達の在華と美鈴も可愛らしい正装で笑顔で参列している。
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