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第一章 高貴な遺伝子 十一
長い間の地下での生活で培った技術の進化は地中に潜るよりもさらに優れていた。
地下での生活がかつての地上に近いものであったゆえに、汚れた地上に戻る時にある程度の整備が必要となった。
地上での秩序が落ち着くまで各地で内戦もあったが、流石に核戦争のむなしさを味わった人類は自然とそれぞれが合う環境で生きていくようになる。
そして地上に戻った俺たちは次第に種族もかつてほどの厳格なわけ目はなく、今のようなアルファ、ベータ、オメガが混ざるような社会になった。
それでもやはりエリアは大まかに別れていて、それぞれのパスポートがあり、渡航するのにも制限はあった。
すべての法律を定めたり、色々な仕組みを作るのはアルファ種である。
我々にはそれらを統率するだけの能力も力もあった。
繁殖を主とするオメガ種にも、それなりな能力を持つベータ種にも自然に尊敬の眼差しを向けられ、頼りにもされている。
アルファは地球の環境とともに変化し、生き残っただけでなく、人間としても優れた能力を持ち、地上に復活してもなお遺伝子の研究に携わっている。
人類は今はもっと複雑に種が枝分かれしている。
しかしその分、血液で種がわかるようにもなったのだ。
病気に対する対処の仕方も、外科の手術が必要であったものが投薬で済むケースがほぼ大半を占めるようになってきていた。
当然寿命も長く、今は平均寿命も150歳くらいになっている。
その分若い肉体も保てるようになっているし、若い時期も長い。
俺は自分が最上位の人種とわかってから特にいつまでもこの若い時期を謳歌したいと願っていた。
しかしそんな数値化されて解決できる物事が全く役に立たないことが一度だけあった。
それは俺の子供の頃の持病が悪化した時だ。
俺はしばらく熱に浮かされ、40度近い熱で10日ほど苦しめられた。
どの薬を飲ませても効かなく、この世のすべてのものが、自分の存在がぐらりと揺らいだ時でもあった。
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