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第二章 講義 二
『おかえりなさいませ、アヤトさま』
寮に戻ると医療用兼、身の回りのお世話兼、護衛用ロボット、エムルが出迎えてくれた。
ヒューマンタイプのアンドロイドで、家事なども兼任する役目を担っていたが、主に俺の健康管理を担当してくれている。
実家の家族はもっと簡易的な医療ロボットだったが、両親は俺のために二足歩行のよりグレードの高いエムルを選んでくれた。
というのも俺は昔から血液に持病を持っているらしく、常に薬を服用しなくてはならなかったからだ。それ以外はいたって健康だ。むしろ元気すぎるほど元気だったから、時々怪我をしては両親に心配をかけていた。
大学の講義にも出てこないほど珍しい難病なのだそうだ。
それでもまだ効く薬があるので救われている。
エムルは国から認可されている医療ロボットだったので、直接薬局に薬をもらいに行くことができた。
それだけじゃない。怪我をしたり病気をしたりしても、俺に合う簡単な薬をすぐに調べ、持ってきてくれるので、彼のおかげで俺はいつも病気知らずではあった。
半年に一度、彼自身も技工士に正常に起動しているかも定期的に診てもらうが。
俺の難病は血液の病気だとはいうが、彼がいればいたって普通に健康体で生活できるという医者からのお墨付きももらっている。
だからやる事といえば、寝る前にいつもカラメル色をした甘い液体を飲んでいることくらいだ。
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