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第二章 講義 五
確かに同性同士、アルファ同士で同性愛者がいないこともなかったが、そんなのは俺の趣味じゃないし、むしろ俺は誰かを抱きたいと思っても抱かれたいと思った事はない。
「本当に……冗談じゃない」
思わず拒絶感が口をついて出てくる。
「俺はベータの彼氏か彼女がいい。お前もそう思うだろ?」
俺の問いかけに琉は苦笑いをする。
「お前、抜け駆けはよせよ。彼氏か彼女……あ、お前は彼氏が欲しいと言っていたな。できたら俺に紹介しろよ」
少し間をおいて琉は小さく「ああ……」と言った。
「俺もお前も抱く方が趣味だからな。カミーユには先越されたけれど、お前には負けるつもりはないからな」
昔よりも目線も肩の位置も高くなった琉がしゃくに触るが、それでも俺は強気に奴の肩をポンと叩いた。
琉は一瞬眉を下げたが、すぐにいつもの笑顔になり控えめに頷いた。
今日の授業は『生物の食物連鎖に絡んだ、安定したピラミッドの世界を構築するためにはどうあるべきか』という議論を交わすというものだった。
というのもここ最近は数百年前よりも生物の生態系も変化してしまっている。
地上に取り残された生き物たちはほぼ全滅したが、それでもその中で進化を遂げたものもいる。
それらは草食動物に食されるだけの存在だったのだが、DNAの変化または他の生物と合体することによって、巨大な食肉植物に変化したり、それだけならいざしれず、あるものは、大きな触手を伸ばし、あろうことかそれで動き回ることもできる。そして見境なく動物に襲い掛かるとも言われている。
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