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第二章 講義 六

 動物同士、または動物と植物などがミックスされて、新種の生き物も増えた。それらの異常な強さに、もとからいた生き物が絶滅に瀕している。  それらはもうこちらが把握できないほどの数になっていて、人類に害を与える物以外は対処しきれなくなっている。  それらが見逃されているのは人間ほどの知性がないからだろう。  焼き払おうと思えばすぐにでも焼き払うこともできる。  俺は『強いものが弱いものを制し支配という統率力がむしろ世界を安定させることができる。そのためには人間が地上の生物を支配して、脅威をもたらすものは絶滅させることで世界の安定を図るしかない』という俺に対して、琉は『生まれたものは自然のままにしておくべきだ。それで種族が絶滅したのなら、仕方のない事だ。人間が地上にいる生き物や自然に手を出すことはしない方がいい』と主張する。    琉の意見は自己主張やアルファばかりの人間のいる教室では少し浮いている気がする。いい言い方をすれば博愛主義者なのだが、悪い意味で言えば何故アルファであることにもっと誇りが持てないのだろうか。  以前よりもカミーユの彼氏の話などでごく自然にオメガを彼女や彼氏にするものは増えてきた。  表向きは人種差別はなくなってきたかのように思うが、みんな本音は違うと思っている。  本来気位の高いアルファは位を重んじるものだが、琉は自然だけでなく、人間も本来みな平等であるべきで、それぞれの役割をもっていたとしても、個々が尊重されるべきだと論文にも載せていた。    俺は彼の意見はあくまで理想でしかないと思っている。  琉がそのように主張するのもわからないわけではない。  だが俺にはやはり綺麗ごとにしか聞こえない。  授業の最後に教授がプリントをみんなに配り、俺はそれをさりげなく見てぎょっとした。  次の授業で実際にオメガ種がこの教室に来てみんなで議論するというのだ。  俺は軽く眩暈がした。この神聖な教室に奴らが入るのかと思うとぞっとする。  しかし若干のざわめきはあったものの、俺がそう思ったようなことを口にするものはいなかった。  俺はそのことに少しだけ不満を感じたが、むしろそれよりもどうやってこの授業を欠席するかという事に頭が向いていた。

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