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第二章 講義 十一
「そこで僕たちも学生運動をしませんか?」
男の言葉で一斉に視線が彼に集まる。
「不本意ながら同族として僕もそんなオメガが許せないと思っている一人です。」
「待ってくれ」
不穏な熱気の上がる教室で、それを少しなだめるように琉が立ちあがる。
「確かに隠れオメガというのは悪いことかもしれないが、彼らにも恐らく何か事情があるに違いない。それを究明するのが先ではないか? そもそも差別がなければ隠れもなにもない。だからまず人々の平和のために君が言っていたオメガも政治にどんどん出てくるべきだし、自分もそうあるべきだと思っている」
俺はなんだか複雑になった。何故琉はこんなにもオメガ種に肩入れするのだろうか。そして何故回りはこんなに俺の知らない情報を知っているのだろうか。何故か琉に少し嫉妬にも似た感情が沸きあがる。
俺はほとんどノースエリアには行っていない。
だからこそ余計に自分が回りの人間に比べて何も知らないのだろうか。
確かに最近ニュースでちらりと見たような気がしたが、あれはエムルがすぐに消してしまった。
それ以来俺がニュースを見ようとするとエムルに何かと用事はないか聞かれたり、次の行動を誘導したりしていたような気もする。
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