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第三章 隠れオメガ狩り 二
「琉? どうしたんだ?」
「アヤト、今そちらに向かっている。サエカも一緒だ」
「何故? なにか俺に用でもあるのか?」
「サエカがお前の医療ロボットのエムルが先ほど警察だと名乗る男たちに探されていると聞いたんだ」
「エムルがまさか、彼なら今薬をもらいに薬局に……でも何故? エムルが? なにかに巻き込まれたのか?」
「わからない。サエカがエムルからの信号を捕らえたんだ。彼自身何か非常事態が起きると発する緊急避難信号だったらしい」
直後すぐにドアのベルが鳴った。俺がインターフォンの画面越しに見ると、見たこともない黒い服を着た地味そうな男二人が立っていた。
「羅姫アヤトの家はここだな」
「そ、そうですが、な、なんですか?」
「お前が羅姫アヤトか?」
「そ、そうですけど」
「確認したいことがある」
そういうと男たちは鍵のかかっていたはずのドアの鍵のロックナンバーをいとも簡単に解除し、土足のまま家の中に入り込んできた。
俺は混乱する。
「何をしているのですか?」
彼らは医療用の道具があるところへ確認しに行き、中の空のボックスを開けて何かを調べていた。
「羅姫さん、あなたは定期的になにか薬のようなものを常用していませんか?」
「え、ええ。持病がありますから」
思わずココアの方へ視線が向いたのを男達の一人が気づくとそれに手を伸ばした。
「そ、それは……」
俺は慌ててそのココアを取ろうとしたが、男の方が素早かった。
男の一人がココアを何かですくい取り、検査のようなものをし始める。
「アヤト!」
そこに琉とアンドロイドのサエカが姿を現した。
男がココアの成分を調べて唸る。
「う……ん。これはただのココアのようだ」
「えっ……」
思わず俺は声を上げそうになった。
「ここには何もないようだ。どこに隠した!」
「何をだ?」
「とぼけるな、お前の医療ロボットがノースエリアのNM製薬に出入りしているということはわかっているんだ」
そういうと男たちはそのまま部屋の奥へずかずかと入って行く。
「待て!」
俺が追いかけると不意に彼らの声が静まった。
ドアの向こうを覗くと、キッチンのドアが開いていて、男たちが目の前に倒れていた。
すぐにその男たちを倒したのがエムルだとわかった。
「エムル!」
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