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第三章 隠れオメガ狩り 七

『羅姫アヤトは隠れオメガである。確信を得るには奴を薬抜きにして血液を調べれば良い。今までは薬の力で無理矢理アルファ種の血液の成分に似せていた。とんだイカサマ野郎だ。彼を断罪するべきだ』  誰が情報発信者かわからない。事実でないことを書かれて俺は頭に血が上った。 「ふ、ふざけるな! 誰だ。こんなものを書いたのは!」  俺は一斉にその場にいる奴らを睨みつけたが、みな視線を逸らす。  俺はその掲示板を叩き壊そうと腕を振り上げた。 「やめろ!」  咄嗟に琉が俺の腕をつかんだ。 「離せ、琉!」 「馬鹿、今お前がそんな風に暴れたら、このことが本当のことのようではないか。違うなら無視しろ!」  俺は琉の一言で我に返った。悔しい気持ちもあったけれど、ここで感情的になることが今の状況からみて正しいこととは思えない。けれど何故自分がこんな風に疑われなくてはならないのか、あまりにも屈辱的で腹が立つ。  不意に背後から腕をつかまれた。振り返ると沼間教授がその無骨な手で俺の腕をつかんでいる。 「羅姫、話がある……」  妙に馴れ馴れしく威圧的な態度に俺は一瞬怯んでしまった。 「どうしたんですか? いきなり」 「ここで話をしてもいいのなら話すが」  そういいながらちらりと掲示板の方を見る。  俺はなんだか嫌な予感がして、そのまま彼の言う通りについて行くことにした。 「……宝田、お前はついてこなくてもいい」  沼間は琉を制した。俺も今は琉に付いてきて欲しくはなかった。

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