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第四章 発覚と抵抗 十
この上ないくらい不愉快さで、怒りで頭の中が整理できない。
この場でこいつらを叩きのめしたい。
俺が睨めつける。
「やめとけよ羅姫」
「こんなところで乱闘したところで、お前は押さえつけられるだけだ。何もいいことなどない」
「なんで俺が押さえつけられなきゃいけないんだ!」
「とにかく今は静かにしていろ」
「お前、散々俺たちを馬鹿にしてただろ?」
織崎が前に出てきた。
「今その俺たちよりもお前は身分が低くなったんだ。それに対してどんな気分だ?」
俺は思わず織崎の顔を睨みつけた。
「おおこわ、こいつ睨みつけたぜ? こいつよりも上の俺たちを下級の奴が見下ろしてきたぜ?」
「『シャツが乱れる!』ねぇ……。お前みたいな奴はな」
そういうと織崎は両手で俺のシャツをつかみ、乱暴に引きずろうとした。
「やめろ、よせっ!」
「こいつ少し思い知らせてやった方がいいんじゃねぇの?」
「もし俺らがお手付きしたところで、後でこいつが発情して俺らを誘ったということにすればいいわけだしな」
「それはいいねぇ……まぁ俺らがどうこうしたところで厳重注意くらいにしかからないだろう」
「なっ……!」
その時俺は自分が一人でこんな場所に来てしまったことを後悔した。
全く今までそういうことに気を掛けることもなく、つい最近まで自分がアルファであることにまるで疑うこともなかった俺だ。
オメガの連中が注意していることに対して無関心だったこともある。
だがもう時すでに遅しだ。
「やめっ!」
叫ぼうとした俺の口を織崎らが咄嗟に塞ぎ、何かをかぶせた。振り上げた腕も数人に押さえつけられた。
そのまま俺は彼らに引きずられていく。息は出来るが、顔にかぶせられた物のせいで、声がくぐもって外に漏れ聞こえない。
辺りが少しヒンヤリしてきて、俺はそのままずるずると奴らに引きずられるように奥の部屋に連れていかれたようだ。
抵抗したが、相手が複数人でどうにもならない。
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