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第五章 運命に抗いたい俺たち 五

「あの……アヤトさん……。色々大変だったようで……」  俺以外の仲間たちは場が和んでいたが、俺だけはどうしてもその輪に入れないことをフロンは察したのか遠慮がちに話しかけてきた。 「……ああ」 「あのっ、明日、恐らくあなたの専用医療ロボットが行ったと思われるところへ一緒に行ってみましょう」 「……お前、エムルが行った場所を知っているのか?」 「エムルさんが、というよりも、医療ロボットがよく行く暗黙の医薬品会社は知っています。恐らくそこにエムルさんは行ったのではないかな? でも、僕も詳細なことはわからない。うちのお手伝いロボットもそこに出入りが許されているから、主人である僕らも入れるはずです」 「しかし、専用医療ロボットだなんて、お前たちは贅沢だな」  カミーユが突然変なことを言う。   「何言ってるんだ。ノースエリアでは個々に医療ロボットをつけるのは当然だろう?」 「そうか? まぁお前たちの家は金持ちだからな、金持ちが個々に持ってるというのはわかるが……」 「お前のところにだっているじゃないか、アンドロイドのエルスが」  琉が紅茶を口にしながら、不思議そうな顔をする。   「え、何言ってるんだよ、お前、あれはただのお手伝いアンドロイドだ。俺には個人的な医療ロボットなんていないぞ」 「そうなのか?」  琉と俺は思わず顔を見合わせた。  俺らにとっては個々に医療ロボットが付くことが当たり前の生活だったから、カミーユの言葉に違和感を感じた。 「エルスは俺たち家族専用の医療ロボット兼お手伝いロボットだな……」 「そう……だったのか……」  琉が顎に手を当ててなにか考え事をしているようだ。 「まぁ、なんにしても明日だな」  俺はため息をつくと、お手洗いだといい、少し席を立つ。  途中で庭が見渡せる広いバルコニーを見かけると、少し夜風に当たりたくなった。  バルコニーに出ると風が心地よい。ここも空気が澄んでるように感じた。  俺たちが住んでいる南エリアの方が一番空気が綺麗だと思っていたが、そこだけではないようだ。  遠くに点滅しながら浮遊しているのは恐らくこの辺り一帯を飛び回る飛行船型の清浄機なのだろう。  最近はこの辺りにも飛ぶようになったのか。    今日あった出来事を反芻してため息が出る。  もう今朝の事が数日前のような気さえする。 「今日は風が気持ちいいな」  背後から声を掛けられた。  振り返るとフロンが上空を見ながら深呼吸をしている。  柵に手をかけ、俺の隣にくる。しばらく互いに押し黙る時間が過ぎた。  気まずいな……それになんだかフロンの態度も変だ。

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