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第六章 抗えない苦しみと発情期 一
「アヤトは何も悪くない……お前は自分の属性をいいように操られていただけだ」
「……りゅう……」
どくんと体中が熱くなった。頭がぼうっとしてきて、目の前の琉に縋りたくなる。
「アヤト?」
自然に琉の腕に胸に縋っていた。
「……人の温もりが……欲しい……」
俺は自分でも信じられないくらいそれは自分の意思とは違う形でまるで操られているように琉の口角の上がった形の良い唇に引き寄せられる。
「……琉」
琉は俺の行動に目を見開く。
俺は手を伸ばして彼の唇を指でなぞる。それだけなのに心地よさで指先が痺れてくる。
琉はその俺の手をそっと掴んだ。
さっきまで色々な事を考えていたはずなのに。
その思考が今はどうでもよくなっていくのがわかる。
すべてのことがどうでもいい……。
ただ、今そこにいる琉と自分は交尾できるのだということに意識が吸い上げられて、ただただ目の前にいる自分にとっての雄に抱き寄せられて、新たな種をもらいたい、いや目の前にいる彼と気持ちのいいことだけをしていたい……。
「俺、もうなんでも良くなった。お前がよければ俺はお前と交尾したい……」
「えっ、なっ……!!」
自らパジャマのボタンに手を掛けて脱いでいる。
俺からそんな言葉が飛び出たり、服を脱ごうとしかかることなど予想もしてなかったのだろう。
琉が狼狽しているのがわかる。
けれど体が熱くなりすぎてこの衝撃を抑えることができなくなっていた。
今まで感じたことのない震えが、この手がもう琉の腕を掴んで離さなかった。
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