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第七章 抗えないオメガの運命と…… 五

 俺が呆然としていると沼間はニタニタと不気味な笑みを浮かべる。 「これから先つがいとなるオメガを味わえるなんて、楽しみで仕方ない。この日を指折り数えておった」  沼間の手がふと肩に触れる。この状況が最大に不味いことは間違いない。  沼間は俺の腕を角ばった手で握りしめると体を引き寄せ抱きしめた。  顔を抑えつけてキスをしようとする。 「ぃやだ!」  俺は必死に顔を避けた。 「嫌だと言う割には体がだいぶ熱くなってるぞ……」  軽く胸のあたりをまさぐられ、突起に触れられると俺は「いやぁ」と声を上げてしまった。 「ほら、もうこんなに固くなってる。Hな子だなぁ……」 「ううっ……や……!」  指の腹でぐりぐりと弄られるとそれだけで腰が動いてしまう。  体を起こされて、俺は自分の下半身を見てショックを受けた。  固くなっていて今にも勃ちあがりそうになっていたのだ。  沼間の汗ばんだ大きな手がそれをズボン越しに根元から撫でる。 「あふ……!」  俺は大きな衝撃に思わずのけぞった。 「これだけでもうこんなに発情しているとは……」  幾度も幾度も沼間はにやけた顔で俺の屹立をいじる。  もう俺は抵抗することもできずに腰がひくひくと跳ねて、体が言うことを聞かなくなっていた。  もう本当に抗えないのかな……。  もう琉にも二度と会えないのかな……。  琉、俺。俺は……。例え運命の糸で繋がれてなかったとしても、つがいじゃなかったとしても、俺はお前が……。  傍にいる時はわからなかった。自分がアルファでいる時もわからなかった。  何もかもが俺たちの前にベールを作って。性別もどうでも良かったんだ。  人種なんて何でもよかった……。  あんな近くにいてくれたのに、近くにいすぎたから?  ごめんな。琉……。  ごめん……。   沼間の手が俺のズボンのファスナーを外し中に入り込む、もっとダイレクトに中心を掴まれた俺は情けないことに腰をふりはじめていた。 「凄い欲情だなぁ……。さすが、淫乱中の淫乱のオメガだ」  俺はもう涙が止まらないまま、勝手に腰が動いていた。  これがオメガの性質だとしたら、悲しすぎる。  俺の意思とは関係なく、俺の腰だけが別の人格を持ったように、沼間の手に自身を擦りつけていた。  気持ちよさに抗うことができない。 「可愛い。いい子だ、もっと腰を振ってごらん?」 「はぁん、あぁ、あぁん」  自分の声とは思えないほどの嬌声が部屋にこだまする。  俺はもう人形になってしまうんだ。このまま上り詰めて達したらもう俺は……。沼間とつがいになってしまうんだ……。   (琉……。俺……生まれ変わったら、今度は……今度こそ……お前とつがいになりたい……!)  その時誰かがドアを思い切り明けた。  俺はもう体が動けなかったから、沼間の顔をぼんやりと見ていた。 「……古藪? なんだ? 誰が入っていいと言った」 (古藪先生……?) 「おぬしは間違っているっ、こ、こんなことは!」  古藪が声を震わせて叫んだ。 「アヤト、それは自然に起きた欲情ではない! それは性欲増強剤を飲まされて、その状態になっているんじゃ!」 「馬鹿、言うな……!」  そ、そうなのか……? 「言いたいことはまだあるんじゃが、そ、その前に沼間教授、悪いことは言わない、あんたさんはここから逃げた方がいい。エムルさんとサエカさんが抑え込んどるが、それも時間の問題じゃろう……」

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