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第八章 運命のつがい 五

 成層圏近くまで船が上昇していても船外の琉は何も問題なく微笑んでいた。  ただ、髪の毛が風でなびくというよりも、どこかふわふわと漂っているような感じだ。  もう重力がなくなってきてる……と、俺の心臓の鼓動は激しく波打つ。 「ま、まさか……奴は不死身なのか?!」 「くそっ、こいつは……やっぱり底知れぬものを持っている。地球外でも生きれる能力まで備えているとは 忌々しい奴め!」  沼間は俺の視線に気づいた様子で、俺を睨んだ。 「……あいつの正体は月で生まれたミュータントだ」 「恐らく何かの猛獣と人間のハーフ……しかも、アルファでもある。あまりにも知能や能力が人並外れていたから、お前のように薬で抑えつけておかなければどうしようもなかった……」 「……琉が」 「もうあとわずかで地球外だ。なのに嘘だろ……」  船員たちが琉を畏怖し始めている。   「くそ、このままワープ飛行に移行しろ!」 「そんな……いくらなんでも無茶です! 相手はミュータントと言っても半分は人間でもあるはずです。成層圏では大丈夫でも次は空気もなにもない宇宙空間ですよ?」 「煩いさっさとしろ!!」  俺はその場で暴れた。流石にそんな非人道的なことは許されない。  琉、琉!! 逃げてくれ! 琉!

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