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最終章 もう抗わない 幸せなつがい 一
船外から見る宇宙の海は果てしなく、気が遠くなるほどの広さだ。
天井にある丸い形の窓からも外が見え、星々がまるで薄いカーテンのように滑らかに黒い空間にたなびいている。
俺達人類が宇宙開発で他の星へ移住できたとしても、そんなものは宇宙からしたらほんの数ミリ程度のことなのだろう。
これだけ広大な広さの世界で、俺たちは出会うことができて、こうして自分たちの星へ帰ろうとしている。
結局サエカたちが少しでも俺たちを休ませようと飛行手段をトラベルモードにしてしまったので、少し長旅になりそうだ。俺たちは部屋でくつろぐことにした。
緊迫した行きの航行とはあまりにも違う。
豪華なホテルみたいな部屋のドアは金色で縁どられて、部屋に置かれている家具や壁紙から少しアンティークな樹や花の彫刻がほどこされている。それに加え柔らかな部屋の明かりは暖色の色合いで、静かな空間は今更ながら不思議な気分だ。
「それにしても……」
俺は部屋を見渡して少し気恥ずかしくなった。
どう見てもベッドはキングサイズの一つしかないし、部屋は琉と別でいいって言ったのに、珍しくエムルもサエカも首を縦に振らなかった。
しかも自分たちはこちらから呼び出さなければ来ないと言い出し、ずっと操縦席で安全運転を交代でやると言って聞かなかった。
「あいつら、あんな頑固なアンドロイドだったっけ?」
俺の問いかけに琉は読んでいたタブレットから顔を上げて微笑む。
不意に俺の窮地に変化してしまったあの琉の真の姿が重なった。
「あのさ……お前のあの姿って……お前の本当の姿なんだよな? 俺がピンチの時になるのか?」
なんとなく聞きづらかったが、それでも、琉のこと少しでも知りたくて、俺は勇気を出して聞いてみた。
「あの姿? あぁ……俺も実はあまりよくわかってないんだ。本当の姿かどうかも謎だ。人間の姿が本来の俺の姿だと思うんだが……」
「うん……あ……の。あれなのかな? よくヒーローがヒロインがピンチになった時にだけ変身するってあれなのかな?」
「……そうかもしれないな」
琉はタブレットを脇に置くと俺を真っすぐ見てふふっと微笑んだ。
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