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第七章 抗えないオメガの運命と…… 八

「小さい頃?……あっ!」  俺は小さい頃。たぶん琉に会っている。  そうだ、俺が高熱を出して寝込んだ時にそっと俺の前に現れたあの時の耳の大きな子。  耳の先が赤かったのを覚えている。    そっか……お前、そんな前から俺の事ずっとずっと……。  なのに俺が自分をアルファと信じていたし、アルファとの恋愛はないとか言ってお前を遠ざけていたから、お前は俺の気持ちを一番に想ってくれて、何も言えずに……。  頬に温かな物が流れていく。あれ……どうしたんだろう、溢れて止まらない……。 「アヤト……」  琉は視線を落としたまま穏やかな視線で俺を見ると、大きくて綺麗な長い指で、そっと俺の目尻から溢れる涙を拭った。  その時、そんな穏やかな時間をひとすじの鋭い線光が遮った。  一瞬の光は琉の肩を突き抜け、何か温かな物が俺の顔にかかった。  そして、それが血だと気づくのにそう時間はかからなかった。 「琉!」 「うっ……くっ……っ!」  肩から血を流した琉が手で傷口を抑えたまま立膝をつく。  あまりの出来事に俺は言葉を失った。  傷口から血が流れてきて、俺はそれを見ただけで、軽い眩暈がした。  沼間の手にはレーザーガンが握られていて、銃口からたった今放たれたであろうレーザーの収縮するジリジリとした音と白い煙が見える。 「やめっ……!」  俺が叫ぼうとするのと同時にもう一発のレーザーが今度は琉の足を貫く。 「や、やめろぉおおお!」  俺は咄嗟に琉を庇うように立ちふさがった。

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