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第七章 抗えないオメガの運命と…… 十一
俺は沼間の言う言葉で踏ん張っていた足の力が抜けた。
今ここで抵抗すれば琉がこれ以上酷い目にあう。下手したら殺されてしまうかもしれないんだ。それだけは避けたかった。それに琉が俺のせいでこんな風になってしまっているのだと理解できたからなおさらだ。
俺はオメガでその中でも非常に強いフェロモンを放つらしい。
そのせいで琉がおかしくなるんだ。なにもかも俺のせいだ。
俺たちは館の玄関まで降りてくると、そこにはエアカーが数台、俺は背後にポッドのついた、エアカーに沼間と共に乗せられた。
「今から火星に行こう。お前の両親の前で結婚式を挙げよう。お前のパスポートもできている。そこでの家もあるぞ……不自由はさせない……ただ、俺の子供を沢山産み育てるだけでお前は一生安泰だ……」
「一生……安泰……」
レーザーガンを突きつけられたまま馴れ馴れしく肩を抱かれ、耳元で囁かれた。
俺はそれだけで涙目になる。
「大丈夫だ、お前のやりたい勉強も存分にさせてやるし、贅沢もさせてやる。ただ、夜だけは時間を空けておけよ……ふふ……」
「琉は……琉はどうなるんだ?」
「うん……? そうか気になるのか。そうだな、お前さえ俺と結婚すれば、あいつにはもう危害を与えないでおこう。ただし、琉は火星には来れない。パスポートも作れないようにしてやる」
「彼を殺さないでくれ……彼に今までのように平和で穏やかな日常を……与えてやってくれ……」
「お前が素直に従えば、殺さずに自由にさせてやるよ、地球だけになるがな」
「……本当に?」
「あぁ……。もう互いに抑制薬が効かなくなっているのなら、いっそのこと離れてしまった方が互いのためになる。お前のせいで奴の行動範囲、思考、やれることが狭まっている。中央都市が好きならば好きに転校なりなんなりできるはずなのにな。お前から離れられないのはお前のせいでもあるようだ」
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