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第八章 運命のつがい 十二

 空港はそれなりに人で混んでいたが、俺達は緊急用の船が収容されるゲートから降りたので、そこはメインのところから少し外れた場所だった。  俺たちがロビーに向かうと、そこには俺が良く知っている両親が待っていた。  でも二人はどこかやつれていて、母親であるユキトは特に痩せてしまったようだ。  ミチルは申し訳なさそうに俯き、ユキトは目に涙を浮かべて、いまにも俺の元へ駆けてきそうな様子だった。  その姿を見たら俺は怒りよりも彼らも彼らなりに苦しんでいたのかもしれないと悟った。 「アヤト!」  真っ先に俺に抱き着いたのはユキトだ。 「ごめんなさいっごめんなさい、アヤト、辛い思いをさせて……!」 「ユキト……どうしてだよ……なんで……!」  俺は久しぶりのユキトの温もりに、その肩に額を付ける。  どうしてこんな事になったんだと責めるつもりだったのに、今は再会できたことにほっとしている自分がいた。  互いに気持ちが高揚しているのを、空港のビルの吹き抜けの風が落ち着かせてくれた。  俺たちはロビーの一角にあるカフェの一角で、詳しい話を聞くことにした。  ユキトは緊張していた。彼の動揺を庇うようにミチルが話すことになった。  ミチルはカフェラテを一口すぐに飲み込み、彼自身も気持ちを落ち着かせる。 「アヤト、お前が生まれたのが沼間が関わっているサウス大学病院というところだった。けれど、生まれてからみな、DNAを調べられる……」  ミチルの話によると、俺はその時にオメガであることがすぐにわかった。もちろん二人は普通にそんな俺を受け入れるつもりだった。  けれど、俺の型はオメガの中でも特殊なものだということが知られると、その病院に関わっている沼間が飛んできたのだった。  その当時准教授だった沼間は婦人科で血液からわかる個々の種別を調べる機関にいた。

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