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最終章 もう抗わない 幸せなつがい 六
でも……俺はもう限界で上り詰めていた。
琉も限界がきたようで息が荒くなっている。
あぁもしかして、このまま最後までしちゃったら、もしかしたら俺、子供ができちゃうかもしれないんだ……。
でもいい、それがいい。二人の子供が欲しい……。
「琉、も、もう駄目だめっ、あぁあああ!」
頭が真っ白になるような甘い衝動が体中を突き抜けると俺はイッてしまった。琉の熱いものが中に放たれ、たなびくような快楽がいつまでもいつまでも襲ってきて、俺はベッドに琉と共に深く沈み込んだ。
その時天井がさぁっと明るくなった。
窓の外に俺たちの船と並行するように彗星が飛んでいたからだ。
まるで彗星が俺たちを祝福しているかのように瞬き、しばらく並行して飛んでいた。
俺たちが地球に戻って来た時にはもう中央都市は夜で、俺たちは懐かしいサウスエリアへ帰ってきた。
小型船から降りる時俺たちが手を繋いでいたのを見て、サエカたちは嬉しかったのか、二人は上機嫌だった。
この間の出来事がほんの数日の間の事だなんて思えないくらい濃い日々だった。
後から聞いたのだが、沼間たちは俺たちと同じように脱出ポッドに乗り脱出したようだ。
だが沼間をはじめとした数名は大怪我をしたらしく、未だに火星の病院で入院中のことらしい。
沼間の横恋慕は許せないが、それでも俺や琉が暴走するのを長い間食い止めてくれた一端は担っていたわけだし、恐らく琉の覚醒で俺たちはつがいになったので、もう二度と俺たちに手は出せないと思う。
だが、order police corpsとの癒着は問題になりそうだ。一部の幹部と共に地球に戻り次第沼間とは関与してなかった他のorder police corpsに逮捕されるとのことだ。
俺の親たちは俺がそれこそ淫乱になりはしないかと恐れていたことは確かだったようだ。
琉の母体であるナガレは寮である琉の家の前で帰りを待っていてくれた。琉の家で俺たちは話をしたが、色々な事を火星にいるミカサから聞いたのだろう。
会った瞬間彼は涙を流して喜んでくれた。
そして……俺達の日常はまた……。いや、ちょっと今までとは違った形になった。
俺は自分がオメガであることをやっと気持ちと体が受け入れつつある。
大学生になって中央都市にあるオメガが沢山通っている大学へ俺たちは進むことになった。
もちろん、以前不快な思いをさせてしまった奴らに俺は心から謝った。
許してもらおうとなんて思わない。ただ、謝りたかっただけで、後は彼らが俺を許すか許さないかは彼ら次第だ。
そうどんな人でも心は自由だから、判断は彼らに任せることにした。
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