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ヘンナヤツ(6)※

一度気持ちいいと口に出して認めてしまえば、容易くタガは外れてしまう。俺は童貞じゃないし、いい歳した三十路手前の男で、ほどほどに遊んでもきて、そこそこの経験もあって。足枷になっているのは、変に強がるこの性分と、相手が数時間前に会ったばかりの初対面の男だということだ。 「んっ!いた、ぃっ」 「あ、痛かった?悪い」 「ぁ、んっ、そ、な、なめんなっ、」 強く噛まれたその場所を、ぺろ、ぺろ、と執拗に舐められる。腰周りがビリビリするのに耐えきれなくて、思わず腰をゆらめかせた。 「はぁっ、も、耳やだ、」 「嫌?じゃあキリタニはどこがイイの?」 そう意味深に尋ねてくるあたり、この男はタチが悪い。俺の発言に耳をそばだてて、チャンスとあらば言葉尻を拾い上げる。 腰周りに添えられていた手が、その周辺をまさぐるようにしてシャツをまくり、肌の上を滑っていく。擽ったさと気持ちよさが綯い交ぜになった曖昧な感覚が、悶絶するくらいもどかしい。 「ひっ...ぅ、」 「ははっ、なに今の声。ちょっと可愛かったんだけど」 「うる、せぇっ...!」 熱い。身体も、顔も、どこもかしこも熱い。 「あ、」 「んだよ...っ」 「やばいな、勃ったわ」 「....はあ?」 「だから、勃ったって」 ほら、とコウヅキは俺の手を掴んで、その場所まで誘導した。何の恥ずかしげもなく俺の手を昂りに触れさせてみせる。そこは確かに、硬かった。硬かった、けども。 「ふーん。男相手でも勃つんだなー」 「えっ」 「なんだよ」 「おま、え、ゲイなんじゃ、」 「いや?ゲイじゃねえよ」 いきなり男の唇に噛み付いてきて、狼みたいに目をギラギラさせておいて、ゲイではないと言う。行動と発言が伴わなすぎて、やっぱりこの男はヘンナヤツだと再認識した。 「ゲイじゃねーのに、お前の声聴いてこうなったんだよ」 なあ、どうしてくれんの?と囁きながら、俺の手を自分の股間に押し付けてくる。 「....お、れだって、...」 「ん?」 「ここ、おまえの、せいで、....」 口を噤んだが、遅かった。コウヅキはニヤリと笑って、意気揚々と食いついてきた。 「キリタニ。俺のせいで、何?」 後悔先に立たず、とはこのことだ。 「つーか、ここって、どこのこと?なあ」 腹に宛てがわれた手が、するすると下半身へ向かって滑っていく。その場所に向かって、焦れったいほどにゆっくりと、下っていく。 「んんっ、....」 「なぁ、聞いてる?何か言えよ」 息を詰めて、その瞬間を待つ。もう少しで、触れる、その瞬間。コウヅキの手は踵を返すように腹の方に這い上がっていった。

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