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課題(2)※
押し問答の末、納得いかないながらも香月に丸め込まれ、俺は今渋々風呂場に向かっている。風呂場の扉の取っ手に手をかけると、背後から金魚のフンのように着いてきていた香月が、機嫌よく俺に声をかけた。
「なあ!洗ってやろうかー?」
「結構!!」
ピシャリ、と風呂場の扉を締め切って、俺は一人素っ裸でシャワーの前に立った。鏡に映った自分の顔は真っ赤だった。
気は進まないが、とりあえず後ろは綺麗にしておきたい。シャワーを手にして、大きくため息をついた。穴は違えど、初夜を迎える女の子の気持ちがわかった気がした。
-----こうして、冒頭へと戻る。
「んー。ローションが足りないのか?」
「足りないのはお前のテクニックだろ」
「だからそういう言い方ヤメナサイ」
俺だって初めてなんだからさ、と香月はローションを取り出す。
「ひ、あ、っ...」
「ま、やってみるしかないわな」
たっぷりローションをたくわえた指先がそこに触れると、ひんやりして身震いした。すす、すす、と周辺を揉みほぐすように撫でる。流石にこれくらいの刺激であれば痛みはなくて、どちらかというとマッサージのような気持ちよさがあった。
「これは?痛い?」
香月の声がけに、俺は横に首を振った。
「さっきのは普通に痛ぇよな。いきなり指はマズかった。すまん」
「...いいから、」
それはいいから、早くこの恥ずかしい体勢から解放されたい。四つん這いになって香月に向けて尻を突き出したこの情けない格好に俺のメンタルが耐えられない。
しばらくそうしているうちに、手応えが出てきたのか香月が嬉嬉とした声をあげた。
「おお!なんか解れてきたかも?」
その感触は、触っている本人が1番実感できるだろう。香月のテンションは上がっているが、俺は逆に不安が増す。確実に次の段階へ向けて1つ階段を登ったのだから。
「そろそろ指いれるぞ」
ここまで来て往生際が悪いのも格好が悪い。覚悟を決めて小さくこくりと頷く。だがその覚悟を決めた身体は勝手に身構えて、緊張する。
「....ひぁっ」
ついに指が入った。...のではなく、背中に湿った感触を覚えた。驚いて後ろを振り向くと、香月が俺の背中に舌を這わせていた。
「...な、なに、...っ、ん、」
舌先が背骨に沿って這い上がってくる。大きく声が零れるほどでもない。それでももどかしい感覚にはじっとはしていられなくて、思わず背を仰け反らせた。
「力みすぎ。力抜け」
先程までの嬉嬉とした声ではなかった。ハッとしてまた香月を見れば、舌先を這わせながら上目遣いで俺を見上げた。
狼だ。
俺は多分、この目に弱い。
ぞく、ぞく、と身体の奥深くで熱量が増していくのが嫌でも分かった。
柔らかい唇が啄むように肌を滑っていく。指先はゆっくり後孔を撫でながらその先に進もうとじわじわ距離を詰めてくる。背中が気持ちいいのと、尻が変にもどかしいのと、同時に異なる刺激を与えられて頭の中は半分パニックに陥る。
「んんっ....」
だが、人間の身体は実によくできている。その先の行為を助長するように、脳内で生成されたドーパミンが身体中に気持ちのいい信号を送る。かぷりと腰周りを甘噛みされて腰が揺れたかと思うと、一度に肌が粟立った。それとほぼ同時に、香月の指先が先に進んだからだ。
「っあ...」
「入ったな」
冷静な声がした。流石に振り返る勇気はなくて、両肘を付いて身体を支えながら身震いした。
「痛いか?」
不快ではあるが、痛みはない。
首を横に振る。
そうか、と安心したような声が返ってきた。
「動かすよ?」
最初は、未経験の異物感に不快感しかなかった。時折抜き挿しされてもさほど痛まかったことには安心したが、不快感は拭えない。
「気持ち悪い」と訴えれば、「もう少し頑張れ」と背中にキスを落とす。
「痛いか」と聞かれて「大丈夫」と答えれば、安堵したようにまたキスをする。
香月は始終、丁寧で慎重で、優しかった。
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