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課題提出(8) ※
「....えっ...なま、え...っあん!」
俺が言い終わるより前に、香月は腰を引いたかと思うと一度に打ち付けてきた。身体の一番奥。香月がいつも指先で触れるところに熱の塊を穿たれた瞬間、チカチカと閃光が弾けたように頭の中が真っ白になった。
....んだよ、これ。
突然名前で呼ばれるし、身体は物凄く熱いし、今のチカチカめちゃくちゃ気持ちいいし、処理しきれない情報量に頭の回転が追いつかない。
「あー...くそ...っ」
香月が、小さく舌打ちしたような気がして、顔を覗こうとした。だが、間に合わなかった。
「えっ...あっ、ちょと、待って、待っ...てぇっ、あ!っんぅ!」
俺の待ったを待つことなく、香月は荒々しく腰を動かした。穿たれる度、身体の奥底から経験したことのない快感が全身を貫く。
確かに期待はしていた。だがその期待を遥かに上回る気持ちよさに、小さな恐怖すら覚えた。
こんなの知らない。聞いてない。
こんなのされ続けたら、頭ん中、おかしくなる-----。
「あっ、あッ、なん、だよ...これぇっ...!んっ、んん!」
「...お前が、嬉しいとか、言うからだ...っ」
香月の余裕のない声が耳の中に落ちてきた。何ひとりで盛ってんだよ。
嬉しいって先に言ったのはお前じゃないか。
「や、それっ...お前が、先に、」
「はっ、ん、そう、だよなぁ...嬉しかったから、ついさ...っ」
「っふ、ぁ!?」
香月にグッと腰を持ち上げられ浮き上がる。そして「脚、上げて」と囁いて両肩に乗せるよう促してきた。俺は素直に従って、香月の両肩に脚を掛けた。そうするとより深くまで香月の欲の塊が届いて、耳を塞ぎたくなるほどのはしたない声が出た。
「あっだ、め、ぁんっ、んッ」
「あー.....お前んナカ、すげえ、熱くて、きもちー...」
「ぁっ、ん、言うな、んんっ」
「なあ...ここ?ここが、イイんだ?」
香月はあからさまに抽挿を激しくした。とてつもない快感に襲われて何が何だか分からない。こんなに余裕のない香月を相手にするのも初めてだった。荒々しく、獰猛な獣のような香月に必死にしがみつきながら、俺は反狂乱になって叫んでいた。
「ひっ、あっアっ、奥んとこっ、んぅっそこ、きも、ちぃ...っ香月っ、そこ、おかしく、なるっ、」
「へえ、ここ...っ、そんなきもちいの?いいよ、おかしくなれよ、俺は、もう...とっくにおかしくっ、なってるからさ、」
汗なんだか、涙なんだかわからないが、視界が滲む。繰り返される律動に息も絶え絶えになっているのに、香月は荒っぽくキスをしてきた。苦しくて気持ちよくて、熱くて甘くて、頭が真っ白になる。
「はっ、ん、ぅ、イくっ、ふっ、イ、く、もうっ、」
「はぁっ、イけよ、...優っ、」
「だ、め、なまえっ、」
「ぁッ....んな、締めんなっ...俺も、はぁっ...イきそ、」
多分ほぼ同時に達したと思う。顔も頭の中もぐちゃぐちゃで、めちゃくちゃに気持ちよくて、どっぷり快感に身を沈めて身体を震わせた。香月の熱い身体が折り重なってきて、俺は受け入れるように両腕を背中に回した。
しばらく、そうしていた。
目を瞑って、乱れた息を整えながら、香月の心地よい体温を感じていた。
「なぁ、...お前もさ、呼んでみてよ。俺の、なまえ...一織、って」
香月の甘い声に誘われるように、俺はゆっくり目を開けた。
「......い...おりっ、」
初めて呼んだ、香月の名前。
香月の引き締まった二の腕の中で、ぼうっとその名を呼んだ余韻に浸った。
香月が、耳元で笑った。
「っ...はは...やっば......。な、もっかい呼んで...?」
「いお、りっ...はぁ...一織...っ」
「ん...優、なぁ、もっかい...しよ」
俺は、返事の代わりに香月の背中に回していた腕の力を強めた。
香月の唇が優しく首筋に落ちてきて、俺はまた目を閉じた。
名前を呼ばれる度、心が揺れた。
名前を呼ぶほど、胸が締め付けられた。
こんなことを続けたら、多分俺は、本当に錯覚してしまう。
これは、この感覚は、恋なんじゃないかって。
俺たちはあくまで友人で、セフレだ。頭ではわかっている。香月もきっと、ただの恋人ごっこを楽しんでいるだけなんだ。セックスをより楽しむための、香辛料のようなアクセントを効かせているだけ。
でもさ、香月。
仮初でもいい。俺の勘違いでもいい。
こうして抱き合って名前を呼びあっている間だけ、淡くて甘い恋人のような関係でいたっていいだろ。
そうしたらきっと、ただのセフレよりかは、いくらか素敵な関係にならないか?
恋している気分を、ほんの少しだけ、味わえないかな。
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