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有を手に入れた最初の夜★

 大貴の口内を動き回っていた有の舌を捕まえた。逆に激しく有の口内を犯す。角度を変えながら、何度も。唾液と吐息がお互いの中で混ざり合う。 「は……ん……」  有が声を漏らした。荒い息遣いと、有が微かに立てる甘い声が暗闇の中に響く。重なり合う唇の奥で、有がふと笑った。ゆっくりと唇を離していく。 「こうしたかったんだろ?」  目と鼻の先で有が笑みを浮かべて大貴の瞳を覗いた。 「ここだったら、お前の望みどおりになるよ」  ほら。そう言いながら一歩下がった有の姿を見て、大貴は目を見開いた。  有は何も身に着けていなかった。裸の姿で、相変わらず同じ笑みを浮かべてこちらを見ている。  その笑みが、悪魔の笑みに見えた。 「ずっと、ヤりたかったんだろ? 俺と」 「…………」 「俺の体、ヒロのもんにしたかったんだろ?」 「…………」 「隅から隅までじっくり眺めて、好き勝手に触ってみたかったんだろ?」  有がすっと右腕を上げて、胸の前で掌を上に向けた。次の瞬間、ポッと火の玉のような塊が掌の上に現れる。ふっと有が息を吐くと、その火の玉は四方八方に散らばって有と大貴を囲んで均等に床へと落ちた。  途端に暖炉の火が燃えるような暖かさと明るさが2人を包む。有の姿がはっきりと浮かび上がった。 「ほら、ヒロ。これだったら、よく見える」  大貴は状況に戸惑ったまま言葉が出ない。有がすっと両手を広げた。 「ヒロ。抱いて」 「いや……だって……」 「なんで迷ってんの? ここは、ヒロの世界じゃん。 ヒロが望んだもんが現れて、ヒロが望んだようにできる。誰も邪魔しない」  大貴がずっと惹かれ続けてきた、大きく綺麗な瞳で有がじっと大貴を見つめていた。その顔が、また怪しく笑う。 「……ヒロの心は正直だな」 「え……?」  有が腕を伸ばして大貴の体を指差した。その指を辿って自分自身に目を向ける。  いつの間にか、大貴も全裸になっていた。 「それが答えじゃん、ヒロ」 「…………」 「あっちの世界でどうにもならないなら、こっちの世界で好きにしたらいいじゃん」  ゆっくりと有が距離を縮めてきた。そっと大貴の体に腕を回して体を密着させる。肌と肌が直接触れ合い、そこから有の熱が伝わってきた。  ずっと望んできたもの。ずっと望んできたこと。喉から手が出るほど欲しくて、でも意気地のない自分はそんな素振りを見せまいとずっと堪えてきた。  渇望していたものが形となって、今、目の前にある。  それを拒絶できるほど、欲望を抑えられるほど、大貴は大人でも紳士でもましてや天使でもなかった。  自分の両腕を有の腰に回して、乱暴に引き寄せた。  これが、大貴の世界で有を最初に手に入れた夜だった。

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