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望みどおり★

 頭の隅に、昨日全く同じ風景の教室で同じ椅子に座って講義を聞いている有がよぎった。目の前の自分を見上げる有がその有と重なる。大貴は有の唇へと自分の唇を落とした。舌を強く絡ませて、同時に服の中へと手を差し込む。 「ん……あ……ヒロ……」  いつも通り、絶妙なタイミングで有が声を上げた。乱暴に有を愛撫する。有が着ていたシャツのボタンを力任せに引きちぎり、執拗に胸の突起を弄る。舌の先で緩急を付けて突起の先を貪った。同時に空いている方の突起も指で強く摘まむ。 「はあ……あっ……」  有の熱い息が徐々に荒くなっていった。大貴は椅子の上で体を仰け反らせて喘ぐ有の耳元で囁く。 「有……乳首だけでこんなになってんの?」 「あっ……だって……」 「有の体はエロいな。ほら、見てみろよ。有の、めっちゃでかくなってんじゃん」  そう言って、右手を下へと滑らせて、ジーンズの上から有の自身をぐっと掴んだ。わざと強く揉みしだく。びくり、と有の体が波打った。 「あっ、あっ、ヒロ……そんな、やめて……」 「なんで?」 「だって……そんなのされたら……」  荒い息のまま有が潤んだ瞳で大貴を見上げた。 「我慢できない……」  大貴の中にちりちりと征服欲の波が押し寄せる。現実では決して聞くことができない、有の言葉。この世界では、有の何もかもが手に入る。大貴の望むように有が言葉を発し、大貴の思い通りに有が動く。 「有……どうして欲しい?」  聞かなくても、有が言う言葉は分かっている。  有が大貴の首に腕を回してきた。軽く大貴にキスをする。そっと唇を離すと、愛情に飢えた犬のような瞳で大貴を見つめた。 「ヒロの好きにして」 「……俺の好きにしていいの?」 「ん……。ヒロにめちゃめちゃにして欲しい」 「……めちゃめちゃにしていいの?」 「いいよ。ヒロにだったらして欲しい」 「なんで……?」 「だって……」  そう言って、なかなか動かない大貴に焦れたように体を密着させて、有が囁いた。 「俺は、ヒロのだから」  一気に。自分の征服欲が満たされる感覚がした。顔に笑みを浮かべる。なんて気持ちのよい響きなのだろう。この世界は煩わしいことが何もない。この、目の前の有さえいればもう他に何も要らない。  大貴は素早く有のジーンズを脱がせると、いつの間にか全裸になっている自分の体を近づけた。有の両脚を乱暴に掴んで持ち上げる。そのまま有の中へと体を一気に突いた。 「んあっ……」  有が一際大きな声を上げた。顔を仰け反らせて露わになった喉仏が、どうしようもなく艶めかしかった。大貴は腰を強く打ち付けながら、その喉仏にしゃぶりついた。 「はあっ……あっ……うっ、あっ……ヒロ……」  大貴の描く通りのその反応は、大貴を快感の渦へと導いた。その夜、大貴は自分の欲のまま有を抱いた。有の望み通り。大貴の望み通り。有が、めちゃめちゃになるまで。

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