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第8話
リクと少年の「関係」は最初は少年が一方的にリクの性器と自分の性器を擦り合わせるようなものだけだった。
でも。
一度始まると中々終わってくれなくて、リクが「出ない・・・出ないから」とすすり泣いても、終わってくれなかった。
何度もキスしたそうに唇が近づけられ、でも遠ざかる。
リクはキスして欲しかった。
少年の手で射精させられるのはとても怖くて。
とても気持ち良くて。
意味が欲しくて。
キスして欲しかった。
これがどういう意味なのかわからない。
ただ、お互いに気持ち良くなるだけの遊び?
それとも。
それとも。
キスされたなら意味が変わる?
わからない。
わからないけど。
少年はキスしなかったし。
リクは少年の手を拒否できなかった。
切なく呼ばれる名前と、自分の喉から吐息のように零れる少年の名前。
濡れた音。
熱い指。
怖い位に見つめる目。
それだけが。
それだけが、二人だけの時間だった。
「可愛い・・・」
「リク・・・」
それくらいしか少年は言わなかった。
リクだって、喘いで少年の名前を呼ぶだけだ。
でも。
リクはなんとなく思っていた。
自分は少年の特別なのだと。
そう。
そう思っていたのだ。
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