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第27話

 恋人にメールを送ったら、翌日に返事が来る。  すぐ返事が来ないのはじっくりメールを読んで、どう返事をすればいいのかを考えているからなのはわかっている。  なぜならリクもそうだからだ。  そんなに難しい話は書いてない。  好きな本の話。  見た映画の話。  他愛ない話だ。    恋人から来るメールも似たようなものだ。    学校の話。    卒業研究の話。    バイトの話。  でもその話を送り合うのは楽しかった。  それはリクにとってちゃんと誰かを知ろうとすることだった。    リクに会いたい。  リクに見せたい。  そう書いてある言葉を何度も読んで味わった。  それは。  やはり恋人を思ってしてしまう自慰以上に、止められないことだった。  恋人の言葉が嬉しくてたまらない。  だから何か返したい。  でも、恋人みたいにストレートには書けなくて。  書いて。   消して。    書いて。  消して。  やっと残した言葉は。  次の長い休みには、会えると良いね。  だけだったわけで。  それがリクの精一杯で。  それでも、そのメールを受け取った先で恋人が喜びのあまり叫んでいたことはリクにはわからないわけで。  まあ、二人は関係を進めていたわけだった。       とても面白い本を読みました    今日バイト先で面白いことが。  綺麗な花を彫ってみました。  リクが読んでた本を読んでみたよ。  バイトの話面白かったです。      リクに会いたい。  バイト疲れてませんか?  リクに見せたい。  見てみたかったです。  早く会いたい。  ・・・オレも。  二人は本当に恋人になっていく。  言葉と想いを重ねる事で。          

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