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第29話

 雪が降る。  でもリクが震えていたのは寒さからじゃなかった。  リクの恋人が住む町はリクの住む町よりはるかに北で。  リクが住んだどの町よりも寒い場所にあった。  改札をでたところにいた恋人は、人目を憚らずリクを抱きしめたけれど、リクは女性にも見えるので、それほど人目をひくことはなかった。  リクは恋人の胸の中で震えた。  怖かった。  これから始まることが。  でも逃げないで、背中に腕を回して自分からも抱きついた。  震える腕で。  恋人は息をのむ。   恋人も震えていた。  「待ってた」  そうとだけ呟く恋人に、リクは何度も頷いた。    手を繋いで恋人の家に向かった。  歩いて。  黙ったまま。    恋人の家は小さなマンションの一室にあって。  恋人は言葉のないまま、部屋に暖房を入れた。  窓が2重窓になっている、北国使用の部屋で、あたたまるのを二人は待った。  抱き合って、キスをしながら。  そこからは。  急ぎはしなかった。  長く待ったからこそ。  会話はないまま、二人で風呂に入ってから恋人のベッドの上で「準備」をした。  恥ずかしくてリクは泣いたけれど、逃げなかった。  ゆっくり穴を解された。  ローションを注がれ、時間をかけて。  恋人は我慢強かったし、リクも逃げなかった。  強張りそうになる身体を恋人は乳首を舐め、吸い、噛み、前を扱いて蕩けさせた。  「怖がるな、リク」  ささやかれた。     愛してる。  愛してるんだ。    その声にこそ溺れた。    信じたからこそ、苦痛を受け入れた。  十分すぎるほど慣らしても、初めてのリクには恋人のモノは大きすぎたし、受け入れ方もわからないのだ。  「痛い・・・」  リクは泣いた。   こんな時だけ声がでる。   中からこじ開けられる痛みに。  でも、しがみついた。    泣いて痛がる顔を見て、何故かまた恋人のモノが大きくなった。  今でも入れらなくて困っているのに。  「クソっ・・・悪い。最悪やなオレ・・・お前が痛がってるのに・・・たまらへん」  恋人だって痛いだろうに。  何故謝られたのかリクには分からない。  痛くて苦しくて。  でも、  離れたくなかった。  時間をかけて納められた時、リクは息も上手くできなかった。  「リク、ゆっくり息して。ゆっくり・・・」  恋人が背中を撫でてくれる。    リクは泣きなから息をした。   背中を撫でられ、ゆっくり呼吸を取り戻す。    自分から唇を重ねて、キスをしたのは、痛みから逃れる為だった。  でも。   確かに痛みは楽になり、だからこそ、必死でリクは恋人の舌を欲しがった。  自分から貪った。  傷みからにげるために。  なのに、また恋人のモノは大きくなるのだ。      「大きくしないで・・・大きすぎる・・・大きい・・・」  泣いて訴えたら、また大きくなるのが信じられなかった。    「しないで・・・」  泣いて訴えた。  「いや、そんなん・・・ムリやから・・・お前エロすぎるやろ」  困ったように苦しそうに言われた。  恋人は唇をかみしめながら我慢していた。  リクが落ち着くまで。     でも一度動き始めたなら、止まらなかった。    痛い、苦しいとリクは泣いた。  泣き叫んだ。  でも。  止めてとはリクは一度も言わなかった。  快楽と言うよりは苦痛の方が大きい夜だった。  でも。  リクは自分から恋人を離そうとはしなかった。  苦痛でも良かった。  この男を手に入れるためなら                                                     

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