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第38話

 恋人はぐったりとしたリクを懸命に介抱してくれた。  今までは気を失っても、動けなくなっても、求められ続けたことはなかった。  恋人は後悔していたし、何度も何度も謝れたし、正直しここまで求められるのは嫌じゃなかった。  ・・・まあ、たまになら。  それに大体、恋人の家にリクが行く時には、寝てる以外はずっとベッドの中で過ごすはめになるのだし。  それはリクも・・・嫌じゃなかった。  すっかり淫らにされた身体は、恋人を欲しがるのだし。  でも、恋人の様子は気になった。  何かあったの?  スマホの画面に文字を打ち出す。  細かい話はこうやって恋人とリクはしていた。  ソラ以外と話せないことには変わりがないからだ。  「なんでもない」  そう言うくせに、恋人はリクから離れようとはしなかった。  トイレにまでついてくる。    怒ってドアの外で待たせたけれど、本当に離れようとしない。  リクの肌に触れたがった。  「リク・・・リク・・リク」  その身体を確かめられる。  恋人に弄られ、いやらしく発達した乳首を。  恋人を受け入れるために、女性器のような形にされた後ろの穴を。  どこを触れられても感じるようにされた敏感な身体を。  口の中まで指を入れられ確かめられた。  上顎、歯茎、舌の付け根。  こんなところさえ、感じるようにされたのだ。    耳たぶ、耳の穴。  舐められる。  リクの前はまたパンパンに膨れ上がり、勃ち上がっている。  そこに触れられることもなく。  「挿れないから・・・お願いや・・・リク、確かめさせて・・・リクがおること・・・」  恋人はうめく。  その声の苦しさにリクは怯えた。    どうしたの?    目で問う。  恋人は苦しげな顔で、なんでもないと言う。     もっと問おうとしたら、恋人が胸を噛み始めたから。  吸い始めたから。  その甘さにリクは溶けてしまう。    「もっと・・・もっとぉ」  リクの声が響き始める。    「リクの声や。リクの」  恋人が喜ぶ。  それはいつもの恋人と同じで。  だから。  リクはごまかされてしまった。  もっとちゃんと、尋ねるべきだったのに。  挿れないと言ってたはずの言葉は守られず、また気を失うまで、貫かれた。  でも、恋人はそれ以上はしなかった。   結局。  リクが帰らないといけない時間ギリギリまで。  リクは恋人の腕の中に閉じ込められ続けたのだ。  食事の間でさえも。  フラフラなまま、電車にのり、家路に向かう間、リクは考えていた。  恋人が言おうとしなかったことについて。  それはリクには不安になった。  今まで。  そんなことはなかったからだった。  でも。  恋人が自分を手放さないこと。  そして、自分も恋人を手放さないことには確信があったから。  恋人の苦悩を心配しながらも、どこか安心していたのたった。    

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