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第7話(R15)
「はなした、さん……」
水上はもう一度、花下を呼ぶ。
花下は水上から次のデザインに取り掛かると、描きながら言う。
「あ、しまった。クーラー、持ってくるの、忘れた」
クーラーというのは移動型の小型クーラーのことだろう。
確かに、談話室にもクーラーはある。
だが、長年、使用はされていない故に、掃除などはされていないだろうし、旧式の備えつけのクーラーは電気代も高い。その点、移動型の小型クーラーならば、夜通し運転していても、そんなに電気代はかからない。
「まぁ、なくても、1枚くらいなら速攻で描いて、部屋に戻れるしな……で、君はどうすんだ?」
「えっ、僕ですか?」
水上はまたたどたどしく、声にする。
花下はまた紙面の上でペンを縦横無尽に動かしながら、口を動かす。
「俺と……えーと、君が何君かは分からんけど、君以外誰かいんのか?」
「あ、すみません。僕は水上です。水上信海と言います」
「いや、別にそこまで畏まらなくて良いけど。俺が描き上げたら、水上はさ。ヌいて、部屋に戻んのか?」
少し下世話なことを言う花下。
水上が友達や先輩にそんなことを言われたのはこれが初めてではなく、その時は軽い嫌悪感すらあったのに、花下に言われると、そんなことはなかった。
むしろ、もっと花下の姿を見て、花下の声を聴きたかった。
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