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第12話(R15)
「さて、こんなものか?」
水上は英単語を書き、花下はトラッドに合うラペルピンを描き上げる。
何でも、最近はイリュージョニストとして有名な吾妻叶人(あづまかなと)や、最近、注目されてきている『TAKAYA KOKI』というファッションブランドの高屋光貴(たかやこうき)からもデザイン画を見せて欲しいと話があるみたいで、花下は気合が入っていた。
ただ1時間弱くらいで、談話室を後にし、クーラーの効いた花下の部屋に駆け込まないと、夜とは言え、干からびてしまう。
「そうですね」
花下も水上もおのおの、持ってきた手荷物を置き忘れないようにまとめると、談話室の向かいの部屋に位置する花下の部屋へ駆け込む。
旧寮は古いが、1人部屋であることもあり、3年生の何人かは花下と同様に、旧寮を希望して旧寮生として生活をしているという。
「お邪魔します」
水上は小さな声で言い、頭を軽く下げて入る。
「俺以外には誰もいねぇし、気にすんな」
花下はタオルやウェットティッシュ、ゴムなんかを水上に手渡すと、欠伸を1つして、ベッドへ潜り込む。
花下に意識がなくなると、いよいよ、世にも奇妙な睡姦ゲームの始まりだった。
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