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第13話(R18)
昨日よりも、月明かりは明るくないが、十分に強い月明かりで照らされた夜。
極力、私物は置かれていない、ベッドと机と椅子があるだけのすっきりとした部屋に花下は眠っている。
水上はベッドで寝ている花下のシャツのボタンを外していく。
月明かりで浮かび上がる色白な肌。閉じられた長い睫毛に枕へ広がる長い襟足。はだけた平らな胸や何かの粒のように小さな乳首、縦に伸びている臍でさえも水上の欲情の対象にしかならない。
「綺麗です……花下さん……」
水上は花下が起きないように、弱い愛撫から始める。さっきまでクーラーのない暑い談話室で過ごしていただけあり、若干汗の匂いや肌が少し湿ったような感じがするのだが、嫌ではない。
むしろ、これも花下の匂いや肌なのだと思うと、水上はいよいよ自分が変態だと思いつつも、興奮していた。
「んっ……」
水上は花下の匂いのしそうな腋へ指に滑り込ませて、二の腕に優しく触れる。左側の首筋にキスを繰り返して、鎖骨や臍の辺りにも唇を押し当てる。
すると、じれったいように花下が声を零した。
「起きるかな……」
花下が起きてしまうと、ゲームオーバーになってしまう。
水上は花下のスラックスや下着を脱がせると、まだ堅くなっていない陰茎を握る。
だが、握り込む力が強すぎたのか、花下の長い睫毛が開いていて、目は水上を見ていた。
「Game Overだな、水上」
花下は服を着込むと、水上の肩を慰めるように叩く。
そして、水上は「そうみたいですね」と鞄から古文と漢文のノートを取り出して、机の上へ置き、部屋を出た。
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