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第19話
「本当にラーメン、美味かったですね」
少し長めの昼寝から目が覚めると、バスローブから新しい服に着替えて、水上は花下に誘われるままにラーメン屋に行った。
ホテルから5分とかからないところにあるラーメン屋はかなり小さな店舗で、常連しか知らないような裏通りのビルの3階に位置していた。
「だろって……よく暑いのに、ラーメンなんか食えるな」
水上は店長に勧められるままに、味噌チャーシューメンを頼んだが、花下は冷やし中華を頼む。あとは餃子2皿、頼んで、花下は1皿の半分、水上に分ける。
『水上は意外と足、デカいからまだ伸びるかもな』
食べられるなら沢山食え、と花下が言うと、水上は『はい』と言う。
『(貴方の背を越したら、貴方は僕を忘れない? 僕を欲しがって、縋ってくれる?)』
どんどん膨らんでいく花下に対するドス黒い思いを笑顔と従順な言葉で誤魔化す。
「美味いラーメン屋だって言ってたの、花下さんじゃないですか!」
感情とは真逆の他意のない台詞を吐き、2人はラーメン屋の隣にあるコンビニで明日の朝食を買って、ホテルの部屋へ戻った。
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