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第23話(R18)

『俺に手を出せるのは俺が寝ている時だけ』  と水上に飄々と言っていた花下は苦悶の表情を浮かべて、水上から視線を逸らしていた。  だが、次第に花下の身体は水上の与える愛撫で震え出す。 「こ、え、出るっ……」  ホテルの柔らかい枕に花下は整った顔を押しつける。甘く啼くような声を押し殺し、身体を震わせながら、長い睫毛を涙で濡らす。 「花下さん、かっこ良いだけじゃなくて、優しいから嫌いだなんて言えない? 」  水上は手を止めると、花下に語りかけるように呟く。 「だったら、水上のことは偶然、談話室で会った後輩。それ以上には何とも思っていないと優しく言ってくださいよ」  水上はいつものように唇を動かす。  花下が遊び半分で、睡姦ゲームを提案したのは確かに良くなったが、水上だって花下の条件を破った。  それだけではない。  花下を無理矢理暴くようにして、身体に触れてしまった。  水上としては、花下がいつか、水上の隣から消えていなくなるだろうことや花下との関係性を思い悩んで傷ついたなんて言える筈もなかった。 「水上……」 「はい」 「最初は水上が可愛くて、ついゲームなんて言ってしまっていた。本当に初めて会った日の段階では可愛い後輩だったんだ」  花下は水上のただならぬ感じを察して、枕から顔を上げていた。  いつもと同じように長い睫毛に、飄々とした目は熱を孕んで、水上を見ていた。 「嫌いだなんて言える訳がない。何とも思っていない……なんてもっと言えない。でも、いつかは……」  花下がどんな進路を進むかは水上には分からないが、花下が碧葉学園の3年生であり、水上が1年生である限り、どうしても、別れの時は来る。  あの談話室で会うことはできなくなってしまう。 「いつかは俺の方が去ってしまうのに、好きだとはとても言えなかった」  と、花下は言うと、ベッドへドサッと倒れ込む。 「俺を好きにして、気が済むなら滅茶苦茶にしろ。水上」

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