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第3話

学校内でも誰とも話さないし、帰り道も誰とも話さない。 これは入学してからずっとだ。最初のほうは何人か話しかけていたが、返事をしないことに気づくとみんな散っていった。 人間関係なんて無駄だ。なにが役に立つ? 一昔前と違って最近はΩの優遇も良くなっている。運命の番とかいう都市伝説のおかげか、いまじゃαよりも優遇されている。 人口の大多数を占めてるβは貴重でもなく普通。普通が幸せという人もいれば、それに文句を言う人もいる。 そしてこの学校には珍しくαとΩがあわせて3人いる。αの男女が1人ずつ、Ωの男が1人。 絶滅危惧種かってくらい珍しい性がこんな公立の普通校に。頭もいいはずなのになぜこの学校を選んだのか謎だ。 それを目当てに学校内は色めきだつし、他校からも多くの人が訪れる。 αはΩを、Ωはαを、番を探しに来る。 人生の貴重な時間を割いてまでお疲れ様。内心そう思いながら帰りの支度をしていると、教室のドアから奴が現れた。 「ゆーう!かーえろ!」 「うざい。帰らない。消えて」 学校で最も、というか周りにいる奴らのなかで最も嫌いなこいつ。アッシュグレーの髪が象徴的で、高身長で学年1位をキープするクズだけど見栄えだけはいい。 年下のくせに生意気だ。気に食わない。 「口に出てますよ。悪口」 「あはーやだー悪気は全くなかったよ。それじゃ」 鞄を素早くとり早足で教室を出た。いや、出ようとした。 ガンっと強い音がしてドアが軋む。こんなの日常茶飯事だから同級生の誰も気にしていない。他人からの干渉は嫌いだが、この時ばかりは誰か助けろよと内心で舌打ちをする。 まぁこのバカの前じゃ誰も太刀打ちできないせいもある。 「悠ちゃん不機嫌なの?俺の家くる?たーくさん癒してあげるよ」 顎クイというやつだろうか。それをされて駄犬を見上げる形になる。屈辱的すぎて思わず睨みつけてしまった。 選択肢を間違えたと思った時には骨が折れるんじゃないかというくらいのハグをされた。

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