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第5話
「本当に悠ちゃんはツンデレなんだから!今日もいいでしょ…?」
さっきとは打って変わって、しゅんとした目で見上げられる。わざとやってるな。おねだりするときはいつもこうだ。
だから駄犬なんて呼ばれてるんだぞ、俺だけだけど。
「別にいいけど長くはいられない」
「やったー!!じゃあ早速行こう」
スキップでもしそうな黒田が向かうのはタワーマンション。つまり奴の自宅だ。
最初はさすがに緊張もしたけど、何回も通ってるうちに慣れてきた。
「おかえりなさいませ」
会社の受付のお姉さんが会社の受付ように頭を下げる。この人たちは間違いを犯さないようにβだ。βだけど見目麗しい。
そんな感情が伝わったのか、黒田に手を引かれ、より早足でエレベーターに連れて行かれる。
浮遊感を感じた時には、すでに黒田の舌が俺の口内に侵入していた。
「ん、お前もうちょっと我慢できないのかよ」
「悠。陽って呼ばないとここで始めちゃうよ。いいの?」
怪しい手つきでお尻を掴まれて、制服の上から穴にぐいぐいと指を突き入れる動作を繰り返す。
いつになく余裕がないらしい。
「ぷ、はっ……陽!ちょ…んぐ」
「かーわい!溶けるくらい愛し合おうね」
俺の腰が抜ける手前で、やっとエレベーターが止まった。苦しいくらいのキスから抜け出せるのは嬉しいけど地獄はこれからだ。
週に3回は確実にある無駄な時間。
「今日はどんなプレイする?」
そう、この黒田陽という男は離さないというように俺の体を求める。発情期かっていうくらい俺を手放さない。
何度辞めろと言ってもいい聞かないので、俺はもうとっくのとうに諦めた。性行為に抵抗はない。夜に仕事をしているくらいだから。
「はぁ〜悠ちゃんはいい匂い。堪らないね。俺たちはやっぱり運命の番なのかな?」
そんな馬鹿げたことを言いつつ、丁寧に俺の制服を脱がせていく。リビングに着く頃にはワイシャツに靴下という情けない姿になっていた。
ワイシャツから覗く下半身をニヤニヤしながら陽は観察している。大体察しはついている。俺が自分でするのを楽しみたいのだろう。
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