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9素直な気持ち

「さあて、久しぶりだな、麗しい弟よ」 大きな荷物を沢山抱えた兄のバルクが前触れもなく、突然中央からやってきた。 ラグとソフィアリが番になって2ヶ月ばかりが経った。 ソフィアリはあの晩あちこち怪我をしてしまい、最初の一ヶ月は安静を言い渡されて終ってしまった。 絶対にそこまで酷い怪我ではなかったのだと思うし、なんなら番った時にできた項の傷が一番深かったが、どこに行くにもラグが抱き抱えて連れていき、文字どおり下にも置かぬ扱いを受けていた。 そうしている間にリリオンが勝手にソフィアリとラグが番になったと中央に住む家族に知らせたものだから、実家はもう大変な騒ぎになった(らしい)。 母からは身の回りの細々としたものが何回にも渡って届き、父からは新居を建てるための職人と莫大な持参金が送り込まれてきた。 この度の騒動でキドゥの街の領主が更迭されたので、リリオンがキドゥの街の領主も兼任することになった。その結果、事実上2つの街はソフィアリものとなった。ラグはリリオンの代行者としてまた、ソフィアリの伴侶として両方の街の再建に乗り出すことになった。 今ソフィアリはラグやアスターとともに新しい街の計画を立てながら、新居を建てる場所を探している。 しかし、ソフィアリはすでに新居の宛と、街の開発について大きな計画をもっていた。 「お前って、その発想力誰に似たんだろうな」 兄とともに、新居の隣の建設現場に赴き、艷やかな黒髪を軽やかに風に舞わせながらソフィアリは建物を指差す。 「そっちの大きいのがそう。農園で働くオメガとか、この地に来てくれて街で働くオメガたちがヒートになったらお互いに助け合ったり、番と気兼ねなく過ごせる建物。ラベンダー畑の真ん中で街から少し離れているからフェロモンがでても問題ないでしょう?」 現在は刈り取りも終わっている殺風景な畑だが、きっとまた夏には美しい紫の敷物のような光景が広がることだろう。 「で、こっちの小ぶりなやつがお前の屋敷か。田舎なんだから、うちよりでかく作ればいいのに」 「いいんだよ。これで」 ソフィアリとラグの住まいはオメガの館を立てている隣にある、旧領主の別邸の内装を直してもらってる。リリオンの屋敷よりもさらに小ぶりだが、海の傍より静かで落ち着いていて、ソフィアリは気に入っている。それに大きな屋敷なんかより、いつでもラグの気配を感じられるような家がいいに決まっているのだから。 建設現場に立つラグがこちらを振り返ったからソフィアリは輝くような笑顔になって大きく手を振った。 「まさか、お前がそんな可愛い顔をするようになるとはねえ。あの男やっぱり流石だわ。親父も自分の目に狂いはなかった、見込み通りお前の番になったと自慢しいしい、鼻高々だったもんな。なんせ国の英雄だからな」 「なんだよそれ……」 顔を赤らめ兄を睨みつけるがすっかり殊勝なってしまった。しかし、兄はブロンドをかきあげながら、真面目な顔をした。 「正直な話、中央や国全土での誘拐事件の検挙率知ってるか?」 「しらない……」 「恥ずかしいことに0.01% ほぼ見つからない。殺されて遺体で見つかることも多い。だからお前をあっという間に見つけて救ったあの男は、やっぱり英雄だってことさ。親父がお前にどうしてもつけてやりたかった守護神ってことだ」 中央は長年外敵に目を向け続け軍ばかりに精鋭を集めた結果、警察組織の腐敗そして治安悪化を招いていた。中央は色々と建て直さないと行けないところに来ているのだ。 「戦後も5年過ぎた。 次世代の若い議員が力を合わせて新しい国をつくるときが来た。俺も来期から父上の跡を継ぐ」 長男が外交の仕事についてしまったので父の跡を継ぐのは次兄と昔から決まっていたことだ。しかし去年までは逃げ回っていたのに、一体どういう風の吹きまわしなのか…… その疑問が顔に出たのだろう。兄は少しだけ面映ゆそうな不思議な顔をした。 「手助けしたい相手ができたんだ」 てっきり兄にも番いたい相手ができたのだと思っていた。その人のために真面目に仕事をする気になったのかと。 後に事実を知るとき、新たな物語が動き出すときでもあるのだが、その時は知る由もなかった。 「セラフィンは、俺に番ができたって、知ってるの? 番ができたら…… 俺のこと諦めるしかないし…… もう言っても大丈夫だよね」 しかし、兄は怖い顔をして首を振った。 「あいつは、軍医になるため勉強して、その後入隊するらしい。……どういうことかわかるか?」 いつの間にか隣に来ていたラグに寄り添い、ソフィアリはその腕にさりげなく飛びつく。 隣に来たらピッタリとくっつく仲睦まじい磁石と言われている二人だ。 「軍人になって我が身を鍛え尽くして、いつかお前の番を打ち滅ぼして、お前を奪ってやるんだと」 つまり番を殺して引裂こうというのだ。 どくんっと心臓がなり、ソフィアリは弟の今なお続く執着に戸惑う。 バルクは思い出す。ソフィアリと似た面差しで、しかし今はまるで別人のようになった双子の片割れの感情をどこかに置き去りにしてきたような顔を。 自分より一回りはさらに身体が大きくなったセラフィンはそう宣言して進学と入隊のため旅立っていった。 その言葉に、ラグは狼のような野生的な力強い笑みを厚い唇に浮かべた。 「面白いな。やれるものならやってみろ。返り討ちにしてやる」 そういい、臆面もなくソフィアリの赤い柔らかな唇に兄の目前で口づけた。 「おお、見せつけてくれるな。さて、俺は新婚の弟をからかう為に来たわけじゃないんだ。アスター殿に話があってここに来たんだ」 そう言い残し兄はこの農園内のアスターの工房にいってしまった。 アスターと兄との間にどんなつながりがあるのかはいまいちわからずにいたソフィアリだが、ラグに促され、工事の進捗を見に向かった。 夜は皆でリリオンの屋敷に戻った。 リリオンとカレルは知己に飛んだハンサムな若者のことをすっかり気に入ってしまい、彼らは夜遅くまで談話室で盛り上がっていた。 そのためソフィアリとラグは先に辞すことにした。 今はラグの部屋は書斎のような使われ方をして、ソフィアリの部屋が二人の寝室の扱いを受けている。 ラグが今日の分の溜まっていた書類の整理をしてから寝室に移動してくると、なぜかソフィアリは寝台の上でガーゼケットにくるまっていた。 「どうしたんだ。気分でも悪いのか?」 労りの言葉をかけながら近寄るラグに、ひょこっとケットから顔を出したソフィアリが首を振る。 ベッドサイドに腰掛けたラグが唇にかかった黒髪を撫ぜながら剥がしてやる。 妖艶とも取られがちな美貌だが、番の前ではいつも愛くるしくも稚気な顔をして無防備に見上げてくる。 ラグは暖かいもので心がじわりと満たされるのを感じながら、ソフィアリを布ごとひざの上に抱き上げた。 すると肩からするっと布が落ち、顕になった姿に絶句した。 漆黒の総レースの透け感のあるローブのようなものを羽織り、同じ布でできた小さなランジェリーを身につけただけの姿で、恥ずかしそうに伸びやかな白い足をラグの膝の上でぷらぷらとさせている。 「く、黒い下着はこちらでは売ってないのですって…… 黒に染めたり、黒い糸を作る技術が発達した国から輸入したもので、最近一番上の兄の奥様が着心地が良いと愛用してるらしくて…… バルク兄さんが俺は髪が黒いから似合うだろうって……」 いやいやいや、貴婦人中の貴婦人である長男の妻がそんなことをいうはずはない。 絶対にあのふざけた次男の差し金に違いないがありがたく乗ることにした。 「ソフィアリ。よく見せてごらん」 ソフィアリは命じられた通り、膝から降りて振り返り、片足の膝を寝台につけるようにしてたちあがった。 鎖骨よりも長く胸元の上まで伸びた黒髪に真珠のような光沢のある白い肌。 黒い複雑な模様のレース編みのローブは長くくるぶし近くまであり、膝を曲げた美しくも官能的な太ももに沿っててろりと優雅に落ちている。 ソフィアリは上半身を隠すため、恥ずかしげに前を閉じあわせていたが、胸の淡い色や素肌がレースの間から見え隠れして退廃的なエロスを清純な身体に纏わせていた。 すっと縦に伸びた形の良いへそのずっと下に、ギリギリ大切な部分を隠す大きさの下着はサイドが紐で結ばれており、ラグの視線に気がついたソフィアリは顔を真っ赤にしてローブをさらにかきあわせて後ろを向いてしまった。 しかし後ろを向いてもレースは透けていて、背中や細い腰の線、形よく上がった尻がよく見えて、ラグはすっかりそそられてしまった。 番の身体を覆い隠すように後ろから抱きしめて、首に残る傷跡をゆっくりと舐めあげた。 「は、恥ずかしいから、やっぱり脱ぐ」 自分で脱ぎさろうとした手を止めさせ、わざと緩慢な仕草で背中の後ろに落とすようにして脱がせると、長い髪を前に払わせ、胸元を悪戯しながら優しく首から背中、腰へとキスで辿り、オメガとして成長してから余計にふわりとした臀部を下着の上から両手で揉みしだいた。 子猫のように小刻みに震えながらも、その下着をもはずそうと紐に手をかけるソフィアリの手を阻みながら軽々と抱き上げる。 目と目が合うとソフィアリは宝石のようにかがやく瞳を潤ませながら唇を小さく動かしてねだる。 「今日は…… 最後までして?」 番になった日以来、日々の触れ合いや優しいキス程度でソフィアリの身体を気遣い深い交わりは避けてきたラグだ。 初めてのときにかなりの無理と恐怖を与えてしまったと後悔していたし、実際ソフィアリの身体はぼろぼろだった。 穴の空いた乳首は今は治っているが、自分がつけたとはいえあまりの痛ましさにラグは軍にいるとき愛用していた、よく効くという軟膏(若干臭い)をわざわざ中央からの取り寄せて朝に晩にすり込むように塗り込んだ。しかし逆にその甘い毒のような刺激に焦れたソフィアリは悶々とすることも多かったのだ。 ラグはソフィアリなりに一大決心をしてこのような装いまでして誘ってくれたのだと思うと、まだ年若い番の健気さに胸が熱くなった。 恭しく寝台に横たわらせ、立てていた左足の太ももをやわやわと噛みながら際どい部分に降りていく。 レースの下着の上から陰茎を喰まれたソフィアリは期待と少しの恐怖にふるえながらびくびくと身体を震わせた。 いやらしい下着を持ち上げるようにして立ち上がる股間にきつさと痛みを感じていたら、それを察したラグはわざとソフィアリに見せつけるように、紐を唇でもってゆっくりと引っ張っていく。 「や、やあっ」 ハラリと片方が解けた拍子にぶるっと勢いよくソフィアリの陰茎が飛び出した。 「元気がいいな」 からかう声をきいて愛らしく睨みつけるが、ラグの緩い部屋着の下履きを持ち上げるようにして立ち上がったものを見て顔色が変わる。  ソレを取り出したとき、冗談抜きで心臓が止まるかと思った。 ソフィアリのそれとは全く形も色も異なり、ヌラヌラと光を帯びたそれはまるで女性の腕ぐらいの太さ長さを誇っていた。 これが自分を貫いていたとは到底考えられない。 ソフィアリは腰を捩って寝台の上の方に逃れるように上がって行く。 ちょうど屈むと顔のあたりにきたソフィアリの足首を掴み足の裏をベロリと舐める。 「やっ!そんなとこ舐めないで!汚いから」 「ソフィアリはどこもかしこも全てきれいだ。足の指先までも美しい」 言いながら足の指一本一本を間まで舐られ、そんなところを舐められて感じるはずはないのにと思うが、連動するように腹の奥や番の雄を迎え入れる部分がキュッとする。 腰を捩っていたのでより細く括れた腰を、滑らせて撫ぜながら今度は胸元を探られる。 「色が淡くて先がつんっとした桃色のここも好きだな。小さくて健気で愛らしいところが逆にそそる。でもそのうち大きく育ててやろう。……もし穴が開いたままだったら、ここにいやらしい白金の輪っかをつけてやりたかった。きっと似合っただろうな」 この間までこわごわと優しい手付きで薬を練り込んでいた同じ指が、今日は遠慮なくこねまわしねっとりと舐めあげてくる。 ソフィアリは上げそうになる甘い喘ぎを無理無理堪えて罵った。 「エロおやじ……」 「褒め言葉だな。……気持ちいいのだろう?」 そういって笑いながらソフィアリを見下ろす顔は野性味が溢れながらも男らしく端正でもあり。 ラグのこの二面性にソフィアリは翻弄されっぱなしだ。 そのラグの頬にひたひたと足先をあて、踏みつけるようにして挑発する。 「いいから続きをして? もっと感じさせてよ」 発情期前の儚げな姿はどこへやら。本来の気質が戻ったソフィアリは挑発的で美しいし、大輪の薔薇のような華やかさだ。 しかし、ややあって絹糸のような長いまつ毛を一度羞恥に伏せると、意を決したようにまつげをそり返らせてラグを見上げ、長くほっそりした白くまばゆい指先で口元に触れようと手の伸ばしてくる。 「口づけをしてから、はじめて……」 愛しい番の甘い甘い望み通り、肉感的な唇を薄く小さなソフィアリのそれに合わせるとくちゅりっと音を立てて舌で愛撫する。 髪を撫ぜ、首筋にそっと羽のように触れ、宝物を扱うように大事に背中に手を入れて抱きしめる。 ソフィアリは身動ぎし震え嬉しげに吐息を漏らして、身体の力を抜きされるがまま媚態を演じた。 ラグはこれから年若い情人へ溺れること自分自身に許した。 小さな下着に収まらなくなった竿を弄りながら胸も舐め、さらに孔にゆっくりと二本の指を含ませる。 やはり発情期とは違い身体がすぐに緩むわけではないようだ。 「ハァ…… んっ…… 苦しい」 「ああ、キツキツだな。でもこれが」 「ひんっ!」 急にもう一本を増やされてバラバラに中で動かされる。 ソフィアリはぎゅっと寝具を握りしめた。 「もう一本入るぐらいまで解さないとな……」 「むりっ!」 「無理じゃないだろう? この間はこのあたりまで」 そう言いながらソフィアリの腹の上の方を擦る。ソフィアリは眉を寄せ苦しげながら色っぽい表情で喘ぎ続ける。 「嵌め込んで、揺すった。覚えてないのか?」 また何かのスイッチがはいったように、僅かに瞳がベッドサイドの明かりに反射して金色に光った。 指がソフィアリの泣き所を探し当てると、おもむろにそこをとんとんと刺激しつつ、前も絶妙の力加減で擦り上がられる。 こんなに大きな手なのにソフィアリを触る指はいつも繊細に動くのだ。 しかし良さげな声を漏らすものの、まだ苦しげにぎゅっと目を瞑っている。ラグは動きを止めた。なにより心地よいフェロモンの香りはずっと薄い。 「ソフィアリ。やはり怖いんじゃないのか?無理はしてはいけない」 今日が事実上の初夜のようなものなのだ。 発情期に合わせて、暴力と狂乱に呑まれながら交わったあのときは互いに冷静さを欠いていた。 「だめ、やめないで、して」 泣き出しそうな声色のソフィアリの頬に、指を這わせてあやす。 「何をそんなに必死になっているんだ? 俺たちはもう番になっている」 その言葉にソフィアリは大粒の涙をこぼし、勢いよく起き上がると目をゴシゴシと擦った。 ラグは慌てて自らも起き上がるとソフィアリを胸の中に抱き込んで互いの心音を合わせるように暖かな身体を擦り寄らせた。 「ラグは、俺が発情したから、だから無理に番にしてくれたんでしょう?」 「そんなことはない」 その言葉を否定するようにソフィアリはふるふると首を振った。この2ヶ月聞きたいけれど聞いてどうすると思って…… しかし考えると悲しくて恐ろしくて聞けなかった事を聞く。 「だって……あの酒場の女の人がいってた。ラグがアスターにもう番は作らないって言ってたって」 この2ヶ月。たまにソフィアリがなにか言いたげな顔をすることをわかっていながら、ラグこそ勇気が出ずに聞くことができなかったのだ。 番になった日の姿を恐ろしく思われ、本当は後悔しているのではないかと思っていたからだ。 しかしソフィアリはまた別のことを憂いていたようだ。 「知ってたのか…… 俺の方こそ、お前に言わずにいてすまなかった。妻と子を一度に失っている。お前にとってまっさらな人間とも言えない…… 種族が違うから子をなしにくいし、歳も12も上だ。引け目があるとすれば俺の方だ。それでも…… お前に恋をしてしまった」  (恋だって!?) 身体をラグの胸板から離し、ぱちくりと音がするほど大きく瞬きして意外そうな顔をしたソフィアリに、ラグは少し年若く見えるような照れて、はにかんだ表情を見せた。 その顔をみたら、なぜか胸からキュンとしてしまったソフィアリだ。 そしてふわふわと甘い香りがお互いから立ち上ってきた。 「山奥で熊みたいにでかい人間ばかりを見て育って、軍に行ってむさ苦しい奴らとばかり生きてきて、それが急にお前のような美しくて繊細で甘やかで…… 同じ人間とは思えないような美貌のものに出会ったら、戸惑うし…… 守ってやりたいと夢中になってしまっても仕方ないだろう」 「ラグ、俺のことが好きだったの?」 「ああ。そうだ。こうやって跪いて……」 ラグは寝台から降り、床に跪くとソフィアリの細く滑らかな手をとって握りしめた。 「ずっと一生そばにいて欲しいと、お前を愛させて欲しいと言いたかった……」 そのラグの大きな身体に、ソフィアリは寝台から身体を投げ出して抱きついた。 「好き、愛してる! ラグ、番にしてくれてありがとう。救ってくれてありがとう。いつも大切にしてくれて…… 本当にありがとう」 そう言いながら花もかくやというような柔らかな表情で微笑んだ。 ソフィアリがラグの首に両腕を絡めるとそれを合図にラグはソフィアリに再び口づけた。 気持ちが通ったキスは更に甘く。 自然にとろとろと身体は解れ、愛液すら甘い匂いを発して番を蜜をたたえて誘う。 寝台の下でも気にすることなく、足を投げ出すように座った大きなラグの身体に立膝で跨り、ソフィアリは大胆な仕草で口づけを続ける。 ソフィアリの凄艶な姿はラグの心に再び情欲の炎を灯した。 「ソフィアリ、入れるぞ」 気持ちよさげに目を細めたソフィアリの緩んだ蜜壺に、一気にそそり立つ陰茎を突き刺した。 「あっあああっ!!」 背中を弓なりに反らせて逃げを打つ細腰を自らの腰に押し付け片手は背にやり、もう片手は不埒に透明な液体をびゅくびゅくと垂らすソフィアリの色の奇麗な茎を手に入れ、鬼頭を丸くクルクルとなぞって甘く攻める。 そして犬歯を当てないように優しく胸飾りを食み舐める。 「乳首、やだ…… どっちも……いや」 「嘘をつけ。締め付けてくるぞ……」 「あんっ…… うそぉ、気持ちいいの! 舐めて…… 噛んで!」 穴が開かないように気をつけながらしかし、甘噛みよりはキツめに乳首に噛み付くと、ソフィアリは自ら腰を激しく動かして衝撃をうけとめ、中の律動が強まりぎゅうぎゅうと痙攣しながらいってしまった。 すっかり噛みつかれるとイクという淫らな癖がついたようだ。 自分が無垢なものをここまでにしてしまったと思うとラグは暗い喜びと、胸を占めるこのモノのすべてを貪り尽くしたい欲がさらに湧き上がった。 繋がった状態から立ち上がると寝台の上にソフィアリの背を落とし、自分は立ち上がった状態で上からガツガツと腰をふった。 「だめえ! 今まだいってるから、だめなのっ」 懇願を無視し、光る目をして腰を振る野生を彷彿とさせる姿に、ソフィアリは身体を何度も何度も痙攣させていきながら、しかし深くまで銜えた陰茎の重い圧迫感を心地よく感じていた。 ラクの陰茎の付け根にあるアルファ特有の瘤が膨れてさらなるキツさにさらされながらも、熱い飛沫を身に受けながら。いつかはこれを受け止め、孕む事ができるかもしれないとソフィアリは嬉しく思った。 溺れるほどに愛されて、オメガに生まれて良かったと、ソフィアリは歓びの涙をこぼしたのだ。 そして潰さない程度に力を込めて抱きしめてくる番に、心と身体すべてを任せた。

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