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第4話※
皇居の大浴場は、一軒家の一階丸々分の広さだ。ピカピカに磨き上げられた浴槽に、泡が溢れている。
僕は宰相を案内し終え、どうしようかと考えた。
(僕を洗うと言っておられたが...。ここは自分から脱いで頼んだ方が良いのだろうか)
一応思春期は終えているが、やはり他人に裸をさらけ出すのは抵抗がある。
それに宰相は先程から黙ったままで、何も話してくれない。これでは困る。
「あの。やっぱり、私自分で洗いますので...。申し訳ないですが」
思い切って言ってみる。
「......」
すると、宰相はガッと僕の肩を掴み、床に押し倒してきた。ガンッと頭に衝撃が走る。
(...っやはり、こいつ僕を殺そうと!)
予感はしていた。こんなボロ雑巾のような召使いを洗いたがるわけがない。きっと陛下も分かっていて承諾したのだろう。早く死ねば良いと、思って。
は、随分と馬鹿にされたもんだ。言っておくが、容姿は醜くとも一応僕は天皇家の血筋なんだ。力でそう簡単にやられると思うなよ。
だが、いくら宰相の体を押し返しても、ビクともしない。
「っく...!離してください」
叫びも虚しく、どこから用意したのか、両手をロープできつく縛られてしまった。その上、何故だか着物も全て剥ぎ取られた。スースーと肌が外気に晒されて、一気に頰に朱が走る。
「ああ...なんて綺麗な肌なんだ。...なあ、お前確か、蝉と言ったな。抱かれた事はあるか」
「...?」
宰相を睨みながら、思案する。抱かれるとは、抱きしめられるということだろうか。それとも抱き抱えられるということだろうか。どちらにせよ、嫌われ者の僕には縁のない事だ。
「ありません、離してください」
途端、宰相の目が一瞬獣のように光った。
「ふ、やはり処女か...。良いな」
「...あの、早く離し、っん、ふう...っ!?」
一瞬何をされたのか分からなかった。――宰相は、僕に自身の唇を合わせてきた。
「はっ...ん、やっ...んあ、」
舌で口の柔らかいところを何度もなぞられる。
(息、できなっ...!!)
「っぷはっ...!」
ようやく解放されて、思い切り息を吸う。荒い呼吸は止まらない。なぜ、一体、どうして。
だが、考える時間は与えられなかった。宰相は僕から目を離さずに、早急に服を脱ぎ捨てた。
下腹部の中心にそそりたつものの大きさに息を飲む。
ピト...と僕のそれにくっつけられて、激しく揺さぶられた。硬いものが擦れ、息が上がる。
「ああっ...、や、ん...やめろ、や...っ」
近くで見る精霊の顔は、憎たらしいくらい美しく、色気が溢れていた。僕はこの行為が何なのか理解できなかったが、非常に官能的でいやらしいということは本能で理解した。
クチュ、クチュ...と卑猥な水音が広い浴場に響く。
「はっ...、感じてるのか、雑用の分際で...」
「あっ...、あっ、あっ...」
更にスピードを増して擦り付けられ、目の前にチカチカ星が散った。
酷く屈辱的だった。自分は男だ。何を思ってこのような行為をされているのか分からないが、相手に主導権を握られてしまったことに、非常に苛々とする。――何より、一丁前に気持ちよくなっている自分に、一番嫌気がさした。
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