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第4話
ある時、一枚の写真を見つけた。
本棚に並ぶ古い本をパラパラとめくっていたら、はらりと落ちて来たのだ。
蚊帳の中で、幽霊の彼が座っている写真だった。
いつもの甚平を着て布団の上に座って手には煙草を持っている。煙草を吸うのが意外でまじまじと見てしまった。
裏返したら日付と名前が書いてあって、彼は修一郎というのだと知った。その日付から考えて、やっぱり幽霊なんだと納得した。
挟んであった本を見たら、裏表紙に康平(こうへい)と名前が書いてあった。本の持ち主は康平で、写真の幽霊は修一郎らしい。
でもどこの誰とはわからなかった。
修一郎が誰だか知っていたはずの祖父はもう数年前に亡くなっていて、写真を見て初めて祖父に訊いておけばよかったと思った。
祖母は誰だか知っているだろうか。
幽霊になってここにいることは知らないけれど、写真を見せるのはべつにかまわないだろうか。迷ったけれど、写真を元通りの本に挟んで本棚にしまった。
祖父の構わないでおきなさいという言葉を思い出したからだ。事情を知っていたらしい祖父が言うのだからそうしたほうがいいのだろう。
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