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第15話
どこかに落ちるような目眩がして、ぐっと足を踏ん張った。
目眩は一瞬で消えて、目を開けると、修一郎が立ちあがっていた。
「もういいよ、修一郎」
僕の口は僕ではない人の言葉を話した。
「ごめん、ずっとここにいてくれてありがとう」
康平の意識が言ったことはわかった。修一郎はすっと側に来て僕を抱きしめた。
「いいよ。俺はただもう一度、康平に会いたかっただけなんだ」
「うん。僕も会いたかった」
「ああ。ごめんな、約束を守れなくて」
「もういいんだ。わかってるんだ。あの時の修一郎にはどうしようもなかったってこと」
康平がそう言って、ぽろぽろと涙をこぼした。
「長い間、こんなところに閉じこめてごめん」
「嘘をついた俺が悪い。それにここで待つのは悪くなかったし、この子が時々遊びにきてくれたから」
僕を見て修一郎は言う。
「康平によく似た子が大きくなるの、楽しみだったよ」
そう言いながら僕の髪をさらりと撫でる。
いや康平なのかな?
んん? 僕は誰だった?
何だか、考えていることがまとまらない。
「俺を気にしてくれて、ありがとう」
修一郎が僕を見てやさしく笑った。
ああ、この笑顔が本当に大好きだったなあと胸の奥が痛むのを感じながら思った。
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